【獣医師監修】犬が咳する原因は何?咳に関わる6つの病気と対処法を解説

犬が咳する原因は何?咳に関わる6つの病気と対処法を解説 犬の病気・トラブル

「うちの子、最近咳をすることが多いけど、何かの病気?」

「咳をしているけど、苦しくはなさそう。こんなときも病院には連れて行った方がいい?」

といった愛犬が咳をしていて、心配なそこのあなた。

犬の咳には、病気が原因のものもあれば、生理現象のものもあります。

生理現象なら気にする必要はありませんが、病気の場合は病院に連れて行かなければなりません。

この記事では、以下の内容について説明します。

  • 咳の原因
  • 咳の原因として考えられる病気
  • 病院に連れて行くべきかの見極め方
  • 自宅で療養する際のポイント

愛犬が咳をしていて、対処法を知りたい方は必見の内容です。

この記事の監修者
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久米川みどり動物病院院長
畠中 道昭 先生
みどり動物病院院長。得意分野は、整形外科、リハビリテーション(CCRP取得)、腫瘍内科・外科。人と動物が幸せに暮らせるためのあらゆるサポートをする病院を目指したみどり動物病院を設立。同病院には、子犬のしつけ関連施設やシニアケアが可能なリハビリテーション設備をを併設し、医療のみならず動物の生涯に渡ってのきめ細やかなケアサポートを行っていることが特徴。

 

咳の原因は生理現象か病気

犬の咳の原因

咳の原因は、生理現象であると考えられます。

  • 異物を飲み込んでしまったとき
  • 水や埃、ごはんを吸い込んで、むせているとき

などの時に咳をします。

一過性の咳の場合は、生理現象が該当すると思われるため、特に気にする必要はありません。

リードを引張った時にも、「カッカッ」と咳をすることがあります。

咳の原因に考えられる6つの病気

咳の原因として考えられる病気

咳の原因として考えられる病気は、以下のものがあります。

  • ケンネルコフ
  • 喘息
  • 気管虚脱
  • 心臓病
  • 異物誤飲・誤食・誤嚥
  • 肺の腫瘍・感染症
  • 肺水腫

ケンネルコフ

ケンネルコフは、伝染性の呼吸器疾患の総称を指します。

伝染力が強いのが特徴です。

犬伝染性気管気管支炎とも呼ばれています。

症状としては、喉に何かが詰まっているような咳をするのが特徴。

しつこく咳をします。

重症化すると、肺炎にまでなるので注意が必要です。

喘息

犬も人間と同様に喘息になります。

考えられる原因は、「アレルギー反応」・「非アレルギー」の2つの場合があります。

具体例は、以下の通りです。

  • ハウスダストや煙などのアレルギー反応(アレルギー反応)
  • ストレスや運動不足(非アレルギー)

気管虚脱

気管虚脱とは、気管が途中で潰れてしまっている病気。

気管は空気の通り道。

潰れてしまうと、呼吸が困難になります。

気管虚脱の初期では、軽い咳が出ます。

ガチョウの声のような咳が出ることが特徴です。

呼吸音も「ゼーゼー」となっていることも多いです。

気管虚脱が疑われる場合は、呼吸音にも着目してみてください。

畠中院長
久米川みどり動物病院
畠中先生

症状が進行すると、慢性的な重い咳となり、お薬を飲み続けたり、手術が必要となったりする場合もあります。

心臓病

心臓病は症状が進行すると、「咳が出る」・「疲れやすくなる」などの症状が見られます。

進行する前の初期段階では、症状があまり見られないのが特徴。

目立った症状が見られませんが、心雑音の有無をチェックすることで早期発見も可能。

病院で聴診器を当てて、診てもらいましょう。

畠中院長
久米川みどり動物病院
畠中先生

心臓の病気により、心臓自体の形の変化から、胸の中で気管などを圧迫して咳がみられるようになります。

心臓の病気は早期に発見をして症状の進行を抑えることが重要です。

軽い咳がをきっかけに、心臓の病気が見つかることもありますので、見逃さないようにしましょう。

異物誤飲・誤食・誤嚥

「誤って、口に入れてはいけないものを飲み込んでしまった」が異物誤飲・誤食に当たります。

また誤って、気管に空気以外のものを吸い込んでしまったことを誤嚥といいます。

食べてはいけないものを食べてしまっているなら動物病院へ行きましょう。

喉や気管に異物が詰まっている場合は、呼吸困難になる恐れがあります。

また、誤嚥は肺炎に繋がる可能性もあります。

肺水腫

肺水腫は「肺が水に溜まっている状態」のこと。

肺にある肺胞に液体成分が溜まってしまっている状態です。

溜まっていることにより、肺で酸素を取り込む効率が落ちてしまいます。

酸素を取り込みづらくなるため、呼吸不全となる可能性も。

畠中院長
久米川みどり動物病院
畠中先生

主に、心臓病が進行し、肺の循環に問題が生じて起こります。
ガス交換をする部分に水が溜まって、ガス交換ができなくなり呼吸ができなくなります。

重症化すると致死的な状態となりますので、咳とともに呼吸数が増えて苦しそうなときは、緊急でも動物病院へ連れて行ってあげてください。

咳をしているときの対処法

咳をしているときの対処法

咳をしているときの対処法を、以下の2つのパターンに分けて紹介します。

  • 病院にすぐには連れていく必要のない咳
  • 病院へ連れて行くべき咳

病院にすぐには連れていく必要のない咳

一過性の咳の場合は、病院へ連れて行かず、自宅で様子を見てOK。

何日にも渡って続かなければ、問題ありません。

様子を見て、長期に渡って咳をしている場合は、病院に連れていかなければなりません。

病院へ行く前に、記録を撮っておくと診察もスムーズです。

  • いつから咳が出始めているか
  • 咳をする時間帯やタイミング
  • 1日に咳がおきる回数と収まるまでの持続時間
  • 食べさせている食事

などはメモしておきましょう。

咳をした際の動画も撮影しておくと、獣医さんに症状が伝わりやすいですよ。

自宅で療養する場合の対処法

自宅で療養する場合は、安静にさせましょう。

ご家族にお子さんがいる場合は、あまり構わないように協力してもらってください。

散歩などの運動は控えて、犬がくつろげる場所で、そっとしてあげてください。

犬にとって、部屋の適温は20度前後。

湿度も乾燥しすぎないようにしてください。

適宜、水や栄養のある食事を与えるようにしてください。

病院へ連れて行くべき咳

犬 くしゃみ

  • 口を開けて呼吸している
  • ぐったりした表情をしている
  • 舌や歯茎が白くなっている
  • 横になれない
  • 発熱
  • 食欲もない
  • 毎日咳をしている

上記のような症状の場合は、病院に連れていきましょう。

咳には放置してはダメな咳もあります。

重症の病気だと、肺炎や肺水腫の可能性も。

判断がむずかしい場合は、自己完結せず病院に連れて行ってあげてください。

場合によっては、命にかかわることもあります。

犬の風邪に関するよくある質問

犬の風邪に関するよくある質問

犬の風邪に関するよくある質問と回答を、2つ紹介します。

  • 人間にうつることもあるの?
  • 風邪のときの治療費っていくら?

質問①.人間にうつることもあるの?

基本的に、人間にうつることはありません。

原因となる感染ウイルスや細菌が人間と異なるからです。

人間と犬とでは異なるので、犬同士でならうつることはあります。

自宅で多頭飼われている場合は、別室で療養させるなど措置を取りましょう。

同室で過ごすと、感染のリスクが高まります。

質問②.風邪のときの治療費っていくら?

風邪も症状の深刻さによって異なるため、一概には言えません。

重症化して肺炎になると、10万円を超える場合もあります。

検査でもレントゲン検査、血液検査が必要。

入院した場合は、酸素吸入、点滴、お薬の費用など、多額になるでしょう。

早めに病院で診てもらうことで、重症化のリスクを下げられます。

畠中院長
久米川みどり動物病院
畠中先生

風邪とは、ウイルスや細菌による鼻・喉・気管などの上部気道感染症の事を言います。

人と同様の症状を起こしながら、原因となるウイルスや細菌の種類が異なりますので、正確な意味では人と同じ「風邪」をひくことはありません。

しかしながら、症状がでているとき、わかりやすく説明するために「犬の風邪」と伝えることもあります。

まとめ

犬 座る

この記事では、「咳の原因」「咳の原因として考えられる病気」について紹介しました。

以下がまとめです。

  • 犬の咳には、一過性のモノと病気に関わるモノがある
  • 咳が数日に渡って続く場合は、動物病院で診てもらおう
  • 咳が重症化すると、「肺炎」になることがある
  • 咳の症状から、心臓病や肺の腫瘍などがみつかることがる
  • 病気の場合は、早期発見が大切。
  • 早期発見することで、療養期間や医療費も最低限で抑えられる
  • 犬の風邪は、犬同士ならうつる可能性がある
  • 多頭飼いの家庭で、一匹だけ風邪をひいているなら別室で療養しよう

いかがでしたか?

愛犬が頻繁に咳をしていたり、突然咳をしたりするなら心配になりますよね。

病気の場合は、他にも症状が見られることもあります。

別の症状が見られないかも観察して、メモしておきましょう。

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