人間ほど多くはないものの、犬もしゃっくりをすることがあります。
たまに出るしゃっくりは生理現象なので、過度に心配する必要はありません。
ただ、しゃっくりが止まらない、息が苦しそう等別の症状が合わせて見られるようなら、何かしらの病気の兆候としてしゃっくりが出ている場合もあります。
この記事では主に下記の内容について紹介していきます。
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- 病気以外で犬がしゃっくりをする4つの原因
- 犬がしゃっくりをする時に考えられる病気
- 病院へ連れていくべき症状
- 犬のしゃっくりの対処法
- しゃっくりを予防する5つの方法
もし病気のサインとして現れているしゃっくりだった場合、いち早く気づくことでワンちゃんの治療の負担を軽減することができます。
病気や体調不良のサインが隠れていないか見極めるためにも、しゃっくりの原因や危険な症状の特徴について把握しておきましょう。
病気以外で犬がしゃっくりをする4つの原因
病気以外で犬がしゃっくりをする原因は、主に下記の4つです。
- 早食いしている
- フードが体に合わない
- ストレスを感じている
- 太り気味である
ワンちゃんに思い当たるところがないかチェックしながら、目を通してみてください。
早食いしている
勢いよくフードを食べてしまう子は、そうでない子に比べてしゃっくりを起こしやすいです。
犬のしゃっくりは人間と同じで、横隔膜が痙攣することによって起こります。
フードを早食いすると、食べ物と一緒に飲み込んだ空気によって胃が膨張したり、胃の中でドライフードが膨らんだりすることで横隔膜が押されるのですね。
そういった刺激を受けることで横隔膜が痙攣し、しゃっくりが起こりやすくなるのです。
フードが体に合わない
フードの温度が温かかったり冷たかったりすると、消化器官に収縮運動が起こることがあります。
その動きが横隔膜にも伝わり、けいれんを起こすことがあります。
またフードに使われている素材が体質に合わない場合、消化時に胃腸に負担がかかったり、ガスが発生しやすくなったりすることも、しゃっくりの原因になります。
ストレスを感じている
犬は非常に繊細な動物でもあり、ストレスが溜まると体調に影響してしまうことがあります。
ストレスが原因で横隔膜が痙攣し、その結果しゃっくりを引き起こすこともあるのです。
例えば環境の変化や、運動不足、大好きな飼い主さんとのコミュニケーション不足などが犬にとってはストレスになりやすいです。
心理的な不安があると自律神経のバランスが崩れ、内臓の筋肉の収縮を引き起こしやすくなります。
太り気味である
肥満体質の犬の場合、体だけでなく内臓にも脂肪が多くなります。
脂肪によって胃腸が圧迫され、横隔膜にその圧が伝わることでしゃっくりが出やすくなります。
日々の対象管理によって、自宅で改善できることも多いです。

特にチワワにあてはまることですが、体重が増えることで、頸部の圧迫を強く受けるケースがあります。
しゃっくり程度でおさまれば良いのですが、呼吸困難に陥るケースもまれに確認されます。ペットの体重管理は飼い主様の責任でもあります。
ただ、可愛がるだけでなく、健康面にも配慮しつつ、愛情を注いであげるようにしましょう。
犬がしゃっくりをする時に考えられる病気
犬がしゃっくりをしている時、考えられる主な病気は下記の4つです。
- 呼吸器疾患
- 心疾患
- 消化器疾患
- 脳疾患
病気が原因の場合は、早期発見による早い段階からの治療が重要です。
もしもの時にいち早く愛犬の異変に気づけるよう、危険な症状の特徴について把握しておきましょう。
呼吸器疾患
しゃっくりの症状が出る呼吸器系の病気には、喘息、気管支炎、肺炎、胸膜炎などがあります。
炎症を伴う胸腔内病気が多く、呼吸が苦しそうだったり咳の症状が合わせて見られたりする時には、呼吸器疾患の疑いがあります。
心疾患
しゃっくりを引き起こすことがある心疾患には、心臓病による心肥大、心臓腫瘍、心膜炎、心タンポナーデ等があります。
心臓が大きくなってしまうことで横隔膜を圧迫し、しゃっくりが出ることがあるのですね。
症状としては咳や呼吸の乱れがあったり、運動を避けるようになったりします。

小型犬の増加に伴い、心疾患を罹患しているペットも増えました。
心臓病は食欲にあまり影響しないので、一見、元気そうに思えて、ちょっとした咳込みやしゃっくりを様子見にしがちです。ただ、やはり毎日続くような、持続的な症状は、程度の軽いものでも注意が必要です。
治療薬も毎年のように新しいものが出てきていますので、その子に合った治療ができるようになってきています。
消化器疾患
しゃっくりが出る際に疑われる消化器疾患には、胃拡張・胃捻転症候群、胃炎、胃腫瘍、などがあります。
特に胃拡張・胃捻転症候群には注意が必要です。
胃拡張・胃捻転症候群はその名の通り胃が拡張し、捻じれ、ものの通り道が狭まってしまうものです。
血流が遮断されることでショック状態に陥り、最悪数時間で死に至ることもある緊急性の高い病気です。
吐きたいのに吐けない、お腹が膨らんでいる、ぐったりしているという症状が合わせて見られる時には、すぐに病院へ連れていきましょう。
脳疾患
例えば脳の神経に障害が起きている場合、脳からの指令が筋肉にうまく伝わらなくなります。
そうすると、誤った指令によって横隔膜の筋肉が収縮を繰り返し、しゃっくりが止まらなくなることがあるのです。
こういった症状は、てんかんや脳腫瘍を発症している際に起こりやすいとされています。
脳神経に問題があることで出るしゃっくりは、頻繁に繰り返されたり長時間症状が続いたりするのが特徴です。
病院へ連れていくべき症状
犬のしゃっくりも基本的には人間と同じで、生理現象によって出ている場合がほとんどです。
しかし、しゃっくりが1時間以上止まらない、呼吸がつらそう、明らかに頻度が高い等の症状がある場合には要注意です。
生理現象で起きているしゃっくりではなく、何かしらの病気の兆候として表れている症状の可能性があります。
特に心臓疾患や胃拡張・胃捻転症候群の場合は一刻も早い治療が必要です。
上記のような異変が見られた場合には、様子を見ることなく動物病院に連れていくようにしましょう。
犬のしゃっくりの対処法4選
犬がしゃっくりをしている時、飼い主さんができる主な対処法は下記の4つです。
- 体を優しく撫でる
- おやつや水を舐めさせる
- ワンちゃんの気をそらす
- 数秒間呼吸を止めさせる
飼い主さんが慌てた様子だと、ワンちゃんもどんどん焦ってしまうことがあります。
まずは飼い主さんが心を静めて、冷静に対応してあげましょう。
体を優しく撫でる
ワンちゃんが落ち着きを取り戻せば、自然としゃっくりも収まることは多いです。
まずはワンちゃんの動きを止めて、お腹や背中を優しく撫でてあげるようにしましょう。
ゆっくり撫でてあげることで、落ち着けるムードをつくるのがポイントです。
おやつや水を舐めさせる
少量の水やおやつを口に含むのは問題ありませんが、急にたくさんの水を飲ませてしまうと逆効果になることがあります。
ペースト状のおやつや水を指に着けて、舐めさせてあげるようにしましょう。
そうすることで呼吸が整いやすくなり、しゃっくりが収まることがあります。
ワンちゃんの気をそらす
ワンちゃん自身も、しゃっくりが気になりだすと焦ってしまうことがあります。
そんな時は外の空気を吸わせてみたり、「お座り」「伏せ」のような指示を出したりして、しゃっくりから気がそれるようにしてあげましょう。
そうすることでいつの間にか、あっさりと止まっていることもあります。
数秒間呼吸を止めさせる
息を止めてみると良い、というのは人間にも有効な対処法として知られていますが、犬も数秒だけ呼吸を止めるとしゃっくりが収まることがあります。
しかし犬は自分で息を止めることはできませんから、試す時は飼い主さんが手伝ってあげる必要があります。
まず飼い主さんは、ワンちゃんのマズルをそっと握ります。
できたら反対の手で鼻の穴を数秒だけ塞ぎましょう。
これを何度か繰り返すことで、しゃっくりが止まる場合があります。
ただし、ワンちゃんが嫌がる時は無理に実行しようとしてはいけません。
上手くできない場合は諦めて、別の方法を試すようにしましょう。
しゃっくりを予防する5つの方法
しゃっくりを予防するための主な方法は下記の5つです。
- フードの与え方を変える
- フードを変える
- 緊張・不安を取り除く
- 興奮させないようにする
- 子犬の頃から社会化トレーニングをしておく
もししゃっくりの原因が病気であれば、動物病院での治療が必要になります。
しかし、そうでない場合は自宅での対策によって症状を改善できることも。
もししゃっくりの発生原因に思い当たるものがあった場合は、対応する予防法から試してみてください。
フードの与え方を変える
犬のしゃっくりの原因として多いのが早食いです。
早食いが癖になっているワンちゃんの場合は、フードの与え方を工夫して早食いを防止しましょう。
一度にたくさんの量を出してしまうと一気に食べきってしまうため、少量ずつ何回かに分けて与えると良いでしょう。
もしくは、犬用の早食いを防止できるお皿を使ってみるものおすすめです。

早食いは健康的な感じがして、見ていてうれしくなることもありますが、正直、良いことはあまりありません。
食事はゆっくり落ち着いて食べてくれた方が、いろんな意味でプラスとなります。
上記にある胃拡張・胃捻転症候群に陥る犬の多くは早食いの子です。少しずつ小分けに食べさせるようにすれば、そうした病気の予防につながります。
迷路のような凹凸があるものや、突起のある形状をしているものがあり、わざとフードが食べにくいように作られています。
ワンちゃんの体の大きさのあったものを選んでみて下さい。
フードを変える
フード自体を変えることで、しゃっくりが改善することもあります。
ドライフードを与えている場合は、少しふやかしてあげるかウェットフードに切り替えることで、消化吸収がしやすくなりしゃっくりの予防になります。
また肥満気味のワンちゃんの場合は、内臓の周りについた脂肪が胃を圧迫し、しゃっくりを引き起こしていることがあります。
食事の量や、与えているフードのカロリーなどを見直し、食事から体型管理をサポートしてあげましょう。
緊張・不安を取り除く
ストレスが原因でしゃっくりが出てしまう子の場合には、その不安や緊張の原因を遠ざけてあげることで改善が期待できます。
ただ、何に対してストレスを感じるかはワンちゃんによって様々です。
ストレスの原因を特定するためにも、普段から愛犬の何気ない行動やしぐさをよく観察することが大切です。
そうして「これかな」と思うものが見つかれば、できるだけ改善するようにしてワンちゃんが安心できる環境をつくってあげましょう。
興奮させないようにする
興奮しやすいワンちゃんの場合、なるべく興奮させないように、興奮してもすぐに落ち着くことができるように接してあげることが大切です。
犬は飼い主さんのテンションにつられてしまうことも多いです。
落ち着いてもらいたい時には、オーバーなリアクションをしたり甲高い声で呼びかけたりするのは控えましょう。
ご飯を目の前にすると興奮してしまう子の場合は、食べる前に「お座り」「待て」などの指示を出して、落ち着かせてから食べさせるようにすると良いでしょう。
子犬の頃から社会化トレーニングをしておく
子犬の頃からいろいろなものに慣れておくと、成犬になった後も外からの刺激に影響されにくい子になりやすいです。
不安や緊張、興奮などは、慣れないものに対峙した時に感じることが多い感情です。
ワンちゃんにとっても、いろいろなものに緊張したり不安を感じたりするのはストレスの原因になります。
もちろん個体差はありますが、早いうちから社会化のトレーニングをしておくことで、些細なことには動じないワンちゃんに成長するでしょう。
しゃっくりをしていたらまずは観察
犬はもともと、人間ほどしゃっくりをすることは多くありません。
もしワンちゃんがしゃっくりをしていたら慌てることなく、まずはその様子をよく観察しましょう。
普段の健康な状態を知っていれば、ワンちゃんの様子が苦しそう、元気がない、といったいつもとは違うサインに気づくことができるでしょう。
しゃっくり以外の異常が一緒に見られる時には、できるだけ早く動物病院で相談することをおすすめします。
しゃっくりの他にも、犬の健康・病気に関する記事を投稿しています。
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