オスのワンちゃんを家族に迎える際、去勢手術をするかどうか、するならいつが良いのかと悩む方も多いでしょう。
この記事では主に下記の内容について紹介していきます。
- 去勢手術とは
- 去勢手術ができる時期
- 去勢手術の4つのメリット
- 去勢手術の4つのデメリット
- 手術をするまでの流れ
- 手術の値段
病気でもない健康なワンちゃんに、手術を受けさせることをためらってしまう飼い主さんもいることでしょう。
しかし、去勢手術をすることはワンちゃんにとっても様々なメリットがあります。
成長しすぎて手術ができなくなる前に判断するためにも、去勢手術を行うメリット・デメリットについて把握しておきましょう。
去勢手術とは
去勢手術とは、端的に言うとオスの精巣を摘出する手術のことを指します。
手術には全身麻酔を使用し、ワンちゃんの皮膚の一部を切って摘出が行われます。
具体的には、陰嚢の前の皮膚を切開し精巣を取り出すことになります。
メスの手術とは異なりお腹を開くような大掛かりなものではないため、体への負担は比較的軽く済みます。
子犬に対して病気の予防や、行動をコントロールする目的から行われます。
去勢手術ができる時期
去勢手術を行う時期は、基本的にはワンちゃんが性成熟する前が推奨されています。
多くの犬種は生後1年以内に性成熟を見返る傾向にありますので、理想的なタイミングとしては生後半年~1年以内です。
この時期を過ぎるとマーキングなどのオス特有の行動が見られるようになり、去勢による行動のコントロールが難しくなることがあるからですね。
子犬の半年や1年はあっという間に過ぎてしましますから、なるべく早い段階から検討を始めるようにしましょう。
乳歯の生え替わりでタイミングを決めることも
小型犬の場合は乳歯の生え替わりの具合を見て、手術のタイミングを決めることもあります。
小型犬では乳歯がうまく生え変わらずに、永久歯と重なって生えてしまうことも多いです。
そうなると自然には抜けてくれないため、人工的に抜糸する必要が出てきます。
乳歯が完全に抜けきるのは大体生後1年ほどですので、その時点で抜けていない乳歯がある場合には、去勢手術の全身麻酔のタイミングで同時に処置してしまいます。
麻酔は犬にとってもリスクがありますので、タイミングを合わせて行うことでワンちゃんの負担を減らすことができます。
幼齢のうちの手術にはリスクもある
去勢手術は、物理的には生後2~3ヶ月から可能です。
しかし、去勢手術が早すぎると肥満傾向が高まるという研究結果もあり、特別に急いでいるわけでないなら生後半年になるまで待つのがおすすめです。
また、体重が2㎏に満たない小さなワンちゃんの場合は、2㎏以上に成長するまで待った方が安心です。
獣医師と相談しながら、ワンちゃんにとって最適なタイミングを見つけていきましょう。
性成熟を迎えた後も手術は可能
もし生後1年を過ぎてしまったとしても、手術自体はできないわけではありません。
ただ去勢の効果は限定されてしまうことが多いため、一度医師に相談しどこまで効果を見込めるのか診断してもらいましょう。

犬種や個々の成長スピードによって適切なタイミングは異なります。
また、健康状態によっても必要性が異なりますので、やはりかかりつけの動物病院で十分な相談をされることをお勧めします。
去勢手術の4つのメリット
去勢手術を行うことのメリットは主に下記の4つです。
- 望まない交配の回避
- ストレスの軽減
- 病気の回避
- マーキングが減る
去勢手術は飼い主さん側のメリットもありますが、実はワンちゃんにとっても様々なメリットがあります。
これからのワンちゃんとの生活をイメージしながら、目を通してみてください。
望まない交配の回避
去勢手術を行うことで、予定外の交配を防ぐことができます。
多頭飼いをしている家庭など、これ以上子犬が増えないようにしたい際にコントロールすることができます。
またドッグランなどで誤ってメスのワンちゃんと交尾してしまう、というような事故を防ぐことにもつながります。
ストレスの軽減
去勢手術をしていない犬の場合、交尾欲や縄張り本能、他の犬に対する攻撃性など、様々なストレスを感じています。
しかし去勢手術を行うことで、男性ホルモンの分泌が抑制され性行動が起こりにくくなるなど、満たされないことによるストレスが軽減されます。
買い主さんも特に子犬を望んでいないということであれば、これからワンちゃんが感じるであろうストレスを軽減してあげるためにも、手術をしてあげると良いでしょう。
病気の回避
去勢手術ではワンちゃんの睾丸を摘出してしまうため、精巣腫瘍など睾丸の病気を患う心配がなくなります。
またオス特有の器官である前立腺の疾患や、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアなどの男性ホルモンに影響される病気の予防、治療に効果的です。
マーキングが減る
ワンちゃんの性成熟が始まるとマーキング行動をするようになります。
これは男性ホルモンが多く分泌されることが要因となっていて、成熟の初めの段階で去勢手術をしていれば収まることが多いです。
しかしマーキング行動が習慣化してからでは、手術をしても収まらないことがあるので注意する必要があります。
去勢の効果を十分に発揮するためにも、手術の判断は早めに行うことが大切です。
去勢手術の3つのデメリット
去勢手術をすることのデメリットは下記の3つです。
- 手術にリスクがある
- 太りやすくなる
- 性格に影響が出ることも
去勢手術にはメリットも多いですが、当然のことながらデメリットも存在します。
リスクについてもよく理解したうえで、手術を受けさせるかどうか判断するようにしましょう。
手術にリスクがある
去勢手術を行うには全身麻酔を使用しますが、犬が麻酔の影響で死亡してしまう確率は以下のように言われています。
小動物における麻酔関連死、つまり全身麻酔そのものが直接的な死因になってしまったという確率は、犬で0.1〜0.2%、猫では0.2〜0.3%と言われます。
引用元:みなとおおほり動物病院
高い数値ではないものの、人間が麻酔で死亡する確率は0.01%~0.05%ですので、人間と比べるとリスクが高いことがわかります。
また体にメスを入れて傷をつくるわけですから、術後は傷口から感染症を起こす可能性もあります。
抜糸を行うまでは、傷口が汚れないよう細心の注意を払う必要があります。
太りやすくなる
去勢をすると、性ホルモンのバランスが崩れるため太りやすくなります。
適度な運動を継続して取り入れるよう心掛け、肥満にならないよう食事を管理して、体型維持をサポートしてあげましょう。
性格に影響が出ることも
虚勢をすることで、性格が変わる犬もいれば、変わらない犬もいます。
変わったとしても大きく性格が変わるのではなく、少し変わることが多いです。
心配な場合は社会化やドッグトレーニングなどを行い、ワンちゃんが自信をつけてから去勢手術をするのがおすすめです。

飼い主様の生活スタイルやわんちゃんの性格や健康状態によって、メリット・デメリットは変わってきますので、色々な側面から考えていただくのが良いと思います。
手術をするまでの流れ
去勢手術を行う際の流れについて紹介していきます。
病院によって詳細は異なることがありますので、目安として参考にしてみてください。
手術をする病院が決まったら、病院の指示をよく聞いて従うようにしましょう。
手術前
去勢手術を行う前にはまず病院で身体検査を受けます。
ワンちゃんの成長具合や、睾丸がおりてきているかなどを見てもらい、手術可能であれば日程を相談します。
病気の治療以外の目的で手術を行う場合は、健康な状態で手術に臨むことになります。
当日までの体調管理を特に気にかけてあげるようにしましょう。
下痢や嘔吐があるなどいつもと違う様子が見られる場合は、医師に相談して手術費をずらしてもらいましょう。
シャンプーやカットは事前に済ませる
去勢手術後は、抜糸も含めて1週間~10日ほど全身のシャンプーやトリミングを行うことができません。
トイプードルをはじめとするトリミングが欠かせない犬種の場合、事前に済ませておくようにすると良いでしょう。
ただしトリミングはワンちゃんにとっても意外と負担がかかるものです。
手術直前に行うと、体調不良の原因になることもありますので、余裕を持った予約をとるようにしましょう。
当日
手術当日はごはんや水を与えず、絶食の状態での来院を指示されることが多いです。
これは全身麻酔時の嘔吐による誤嚥を予防するためのものです。
12時間以上の絶食が必要な場合もありますので、うっかりごはんをあげてしまわないように気をつけましょう。
どのタイミングから絶食するべきかについては病院によって指示がありますので、必ず従うようにしましょう。
手術後
退院の時期は病院の方針により異なりますが、数日の入院後か、早い場合は当日に退院できることもあります。
その後1週間~10日を目安に抜糸が行われますので、それまで過度な運動はさせないように気をつけましょう。
また犬は痛みや違和感があると患部を舐めようとすることがあります。
傷口を舐めてしまうと傷が開いてしまったり治りにくかったりするため、必要に応じてエリザベスカラーなどを用意して対策しましょう。
シャンプーやお風呂は大体、抜糸後3日後以降から可能になります。
去勢手術の費用
去勢手術の費用は動物病院によって異なりますが、手術前の検査、手術代、入院費で3万円程度が目安といわれています。
自治体によっては去勢手術に助成金を出しているところもあります。
お住いの地域が助成金を用意しているかチェックし、必要な手続きなどを確認しておくと良いでしょう。
メリット・デメリットを理解して決めることが大切
去勢手術をしないことが悪い、なんてことは決してありません。
大切なのは手術のメリット・デメリットを理解したうえで判断したかどうかです。
もし「なんとなく」を理由で決めて後悔しても、時間がたってからではどうすることもできません。
「やっぱり子どもが欲しい」「早めに手術しておけばよかった」ということがないよう、愛犬とのこれからについてよく考えて判断しましょう。

去勢手術は一生に一度のことです。
手術を行うタイミングになる前から、獣医師や専門家等から正確な情報を集めた上で、判断をしてあげてください。
去勢以外にも、犬の健康・病気に関する記事を解説しています。
興味のある記事があれば、ぜひご覧ください。