犬が唸っている時、原因がわからなくて困ったという経験はありませんか?
犬に唸られると、なにか気に入らなかったのかな、もしかして嫌われているのでは…?などと心配になってしまいます。
でも、実は犬が唸るのは威嚇している時だけではないのです。
この記事では主に下記の内容について紹介していきます。
- 犬が唸る理由7つ
- 犬が唸っている時の注意点3つ
- 犬が唸るのをやめさせる方法4つ
- おやつを使ったトレーニング方法3つ
- トレーニング時のポイント3つ
犬が唸る理由は様々で、もしかしたら飼い主さんが思っているのとは違う理由から唸っていた、ということもあります。
理由を正しく理解してあげることで、やめさせるための対策を効果的に行っていくこともできますからね。
記事の最後では、唸るのをやめさせる方法やトレーニングのコツなども解説していきますのでぜひ参考にしてみてください。
唸ることは犬からのメッセージ
唸ることは、犬にとって気持ちや要求を伝えるための手段です。
人間のように言葉を話せない犬にとっては唸ることはコミュニケーションの方法の一つでもあるのです。
犬に唸られたからと言って、それが必ずしも威嚇の意味であるとは限りません。
どんなメッセージを私たちに伝えようとしているのか、それを正しく理解してあげることがワンちゃんとの信頼関係を築いていくうえでも大切なのですね。
犬が唸る7つの理由
犬が唸るときの主な理由は下記の7つです。
- 怖がっている
- 興奮している
- 甘えたがっている
- 何かを守ろうとしている・母性本能
- 縄張り意識
- ストレスが溜まっている
- 病気や怪我で痛がっている
中には「それは考えたことがなかった」というような意外な理由もあるのではないでしょうか。
ここから詳しく見ていきましょう。
怖がっている
犬が唸る理由として、怖がっている、警戒しているというのはイメージしやすいかと思います。
犬はもともと警戒心や恐怖心が強い動物です。
知らない人、初めての場所、突然の大きな音などには恐怖を抱きやすいのですね。
また、過去に怖い思いをした経験などがあると、それを連想させることやものに対して唸って警戒心や恐怖心を表すこともあります。
老犬になると今まで大丈夫だったものも怖がることがある
老犬になると、今まで平気だったものも怖がるようになることがあります。
歳をとって目や耳の機能が衰えてきた犬の場合、周囲のひとや物、音に対する認知網力が低下しているために状況を正しく把握しづらくなるのです。
今まで大丈夫だったものに対して唸って警戒するようになったときは、年齢のせいで視力や聴力が落ちているのが原因かもしれません。
不快感を表すためにも唸ることがある
やりたくないことを要求されたり、苦手ないことを指示されたりした時にも犬は唸ることがあります。
例えばお散歩中、まだ帰りたくないのに帰り道に差し掛かった時などに、「まだ帰りたくない」という気持ちを表すために唸るということもあるようです。
飼い主さんとの信頼関係ができていればある程度は我慢してくれることもありますが、度を超えるときには唸ることで不快感を表現することがあるのですね。
興奮している
犬は唸りながら尻尾を振ることもあります。
飼い主さんからしてみれば、怒っているのか喜んでいるのかよく分からないですよね。
ワンちゃんが唸りながら尻尾を振っているのは、実は興奮状態の合図です。
スキンシップをとろうとすると勢い余って噛みつかれてしまうこともありますので注意しましょう。
またおもちゃで遊んでいる時に夢中になりすぎて唸ることもあります。
犬にとっての遊びは狩りをマネして楽しむことでもあるので、遊んでいる最中に唸るのは威嚇して獲物をとるマネをしているからなのですね。
甘えたがっている
意外に思うかもしれませんが、犬は甘えたいという気持ちを伝えるときにも唸ることがあります。
飼い主さんがワンちゃんを撫でた時に唸りながら甘噛みしてくるようなときは、もっと撫でてほしい、じゃれあいたいというサインかもしれません。
時にはお腹を見せて体をくねらせながら唸る子もいるようです。
ワンちゃんが急に怒り出したと心配になることもあると思いますが、この場合はかまってもらいたい合図なのですね。
遊んでほしい、お腹が空いたなどの自分の欲求を伝えるために、唸って飼い主さんの気を引こうとしていることがあります。
何かを守ろうとしている・母性本能
特に母犬は、子犬を侵入者や外敵から守るために唸ったり吠えたりという行動をとります。
子犬が産まれたばかりの時などは、たとえ飼い主さんであっても子犬に触ろうとすると攻撃されることもあるのです。
出産によってホルモンバランスが変化し、母性本能が強まることが理由と考えられます。
また妊娠した母犬以外でも、ぬいぐるみなどをわが子だと思い込み近づこうとすると唸るということもあるようです。
母性本能からくる唸りは一時的なもので、ホルモンバランスが戻ってくると落ち着いてくることが多いです。
縄張り意識
犬はもともと群れで生活する動物で、縄張り意識が強いところがあります。
家族以外の人が家に入ってくるなどすると、侵入者を警戒する意味で唸ることがあるのですね。
また、侵入者から飼い主さんを守ろうとしているとも考えられます。
ストレスが溜まっている
犬も人間のようにストレスをため込んでしまうことがあります。
留守番が多くて寂しい思いをしている、運動不足が続いている、引っ越しなど環境の変化があって落ち着けないなど。
そういった不満やストレスがイライラとなって唸るという行動につながっていることもあります。
もしも思い当たることがあるという場合には、ワンちゃんのストレスの要因となっているものを取り除いてあげるように心がけましょう。
病気や怪我で痛がっている
どこか体に痛みがあることが理由で唸っている可能性もあります。
特に痛みの出ている患部に触ろうとすると激しく嫌がり「触らないで」という意味で威嚇してくることがあります。
もし体の特定の部分に触って過剰に反応するようなら、怪我や秒にも可能性を疑ってみましょう。
異変を感じたらすぐに動物病院へ
普段はおとなしい子が急に唸るようになった、体のどこかを庇うようなしぐさがみられるというときには、怪我や病気の可能性が高いです。
そのような異変を感じた時は、早めに動物病院を受診し検査を受けるようにしましょう。
犬が唸っている時の3つの注意点
犬が唸っている時の注意点は下記の3つです。
- 飼い主さんにも噛みつくことがある
- 無理に近づくと不信感を募らせることに
- 唸ったら叱るは逆効果
ワンちゃんが唸っている時にはしないほうがいいNG行動というものもあります。
ついついやってしまっていることはないか、思い返しながら見てみてください。
飼い主さんにも噛みつくことがある
犬が唸っている時は、基本的に興奮状態にあるときです。
飼い主さんであっても、ワンちゃんの不安要素を取り除いてあげないままスキンシップをとろうとしたり叱ったりすれば、噛みつかれてしまうこともあります。
また、かまってほしいという意味での甘噛みという可能性もありますから、嚙まれたからと言ってまずしかりつけるのは避けるようにしましょう。
無理に近づくと不信感を募らせることに
ワンちゃんに近づくだけで唸るというときには無理に近づかないようにしましょう。
そういう場合の唸りは近くに来ないでというサインですから、無理に近づこうとすると「私の気持ちをわかってくれない」と感じて飼い主さんへの不信感を募らせることになってしまいます。
ワンちゃんとの信頼関係を壊さないためにも、そういう時には少し距離をとって見守ってみましょう。
念のため来客にも注意を促す
ワンちゃんが唸っている時や興奮しているときは念のため来客にも「今はそっとしておいて」と注意を促しておきましょう。
来客がついワンちゃんとスキンシップをとりたがって怪我をしないようにというのもありますが、ワンちゃんが来客に対してマイナスイメージを重ねてしまわないようにするためでもあります。
知らない人に対しても警戒せず接することができるよう訓練が終わるまで、無理なスキンシップは避けるようにしましょう。
唸ったら叱るは逆効果
犬が唸っている時、頭ごなしに叱ってしまうと逆効果となることがあります。
唸っている原因となっているものが排除されていないまま叱られることは、ワンちゃんにとっても大きなストレスとなるからです。
飼い主さんとの信頼関係に亀裂が生じたり、不満が募って噛みついてしまったりとうというような別の問題にもつながりかねません。
ワンちゃんによって唸る原因は様ですから、その子の理由に合った対処をしてあげることがポイントです。
犬が唸るのをやめさせる方法4つ
犬が唸るのをやめさせたいときの方法として、紹介するのは下記の4つです。
- 散歩コースを見直す
- 落ち着かせる訓練をする
- ものを取り上げるのではなく交換する
- 主従関係を理解させる
犬が唸るのを放置すると、「唸れば解決するんだ」ということを覚えてしまい余計に唸るようになってしまいます。
そういった経験を繰り返すほど唸る頻度はさらに増えていくことでしょう。
ついには病院で診察を受けることも、サロンでトリミングをしてもらうことも難しくなってしまいます。
そうならないためにも、ワンちゃんが唸る理由を見極めて早急に対処していくことが必要なのです。
ここから犬が唸る原因ごとの対処法について紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
散歩コースを見直す
犬が何かを怖がっている、警戒しているというときは、まずその恐怖や威嚇の対象から距離をとってあげることが大切です。
散歩の最中によく唸ったり吠えたりする場合は、散歩コースを見直してみるのも一つの方法です。
車が怖いなら交通量の少ない道、他のワンちゃんとすれ違う時に唸るなら、意識的に散歩コースを被らないようにしたり時間をずらしたりしてみるのもいいでしょう。
それでもすれ違ってしなうときには、道の反対側に移動するなどして十分な距離をとってあげましょう。
少しずつ音や人などに慣らしていく
しばらく警戒の対象となるものから距離をとったら、今度は少しずつ慣れさせてあげましょう。
犬が恐怖心や警戒心によって唸るのを改善していくためには、社会性を養っていくことが近道になります。
他のワンちゃんがいるときは、初めは抱っこしてあげながらすれ違ったり、音を怖がる時には録音した車の音などを小さな音量から流したりして慣れさせましょう。
その際には盛大に褒めてあげるか、おいしいおやつを用意してあげることで、マイナスなイメージが薄まって慣れやすくなりますよ。
落ち着かせる訓練をする
例えばチャイムの音で興奮する子の場合は、チャイムが鳴ったらハウスをする、またはお座りをするように教えましょう。
ワンちゃんの落ち着く場所や落ち着く行動などをとらせることで、次第にチャイムの音で興奮しなくなります。
また、一緒に遊んでいる時に興奮して唸り声をあげるときは、1回遊ぶのを辞めてクールダウンしましょう。
ワンちゃんが落ち着いたらまた遊び始めます。
これを繰り返していくうちに「唸ると遊んでもらえないんだな」ということを学習していくのですね。
ワンちゃんの名前を呼んだら目を合わせることができる、お座りなどの指示にも応えることができるというときは、遊びに夢中になって出ている唸りであることが多いので、試してみてくださいね。
ものを取り上げるのではなく交換する
ぬいぐるみなど、なにかお気に入りのものを守ろうとして唸る時には、無理に取り上げることは避けましょう。
ワンちゃんがものを持った時には、ワンちゃんが喜ぶものと交換で手放してもらうようにします。
上手くできた時には盛大に褒めてあげるのも忘れずに。
ただ取り上げるだけでは「大切なものを奪われる」という経験を積ませてしまうことになり、繰り返すことでさらに頑なになってしまいます。
交換であればワンちゃんも納得して応じてくれやすくなるでしょう。
主従関係を理解させる
唸りを辞めさせるには飼い主さんとの主従関係をしっかりと理解してもらうことも重要です。
ワンちゃんの要望に応えすぎると「唸れば飼い主さんは言うことを聞いてくれる」のように自分の立場の方が上なのだと認識してしまいます。
しつけを諦めてしまったりワンちゃんのほしいままにおやつをあげたりすると、飼い主さんの優位性が保たれなくなってしまいます。
時には毅然な態度で向き合い、ワンちゃんに主従関係を理解させることも大切なのですね。
おやつを使ったトレーニング方法3選
ここから紹介するおやつを使ったトレーニング方法は下記の3つです。
- おもちゃとおやつで交換の練習
- 自分からハウスに入る練習
- おやつで警戒心を取り除きながらスキンシップをとる練習
おやつはワンちゃんの注意をひくのに効果抜群のアイテムです。
効率よくトレーニングをしていくためにも、上手におやつを活用していきましょう。
おもちゃとおやつで交換の練習
交換は、ワンちゃんが何かを守ろうとしている時以外でもおもちゃを使って練習することができます。
例えばおもちゃの人形やロープなどを噛ませて、「交換」と伝えながらおやつをあげます。
おもちゃを噛んだままではおやつを食べることができないため、ワンちゃんは噛んでいるものを放してくれるはずです。
おやつを食べた後はまたワンちゃんとおもちゃで遊んであげましょう。
そうすることで、放してもまた遊べるし、おやつも貰うことができると覚えさせることができ、交換ができるようになっていきます。
自分からハウスに入る練習
チャイムの音や来客に興奮して唸っている時、ワンちゃんをハウスに入れようとして無理に追いかけまわすと、逆に不満が溜まって唸りの原因となることも。
そういう時はハウスにおやつを投げ入れ、ワンちゃんが自分からハウスに入るように訓練しましょう。
扉を開けたままそれを繰り返すことで、少しずつハウスに対する警戒心を解いていくことにつながります。
逆に入った瞬間に扉を閉めるようなことを繰り返すと、警戒心が強まりおやつを投げてもハウスに入らなくなってしまうので気をつけましょう。
おやつで警戒心を取り除きながらスキンシップをとる練習
ブラッシングや足ふき、シャンプーなどワンちゃんのケアなどでスキンシップが必要な場面も多いですよね。
しかし中にはそういったケアを嫌がって唸る子もいます。
無理やりケアを続けてしまうと飼い主さんへの不信感を募らせてしまう、またワンちゃんの警戒心を育てることにつながってしまします。
そういうときも「触るたびにおやつをあげる」のような形で、おやつをうまく利用しながらケアするようにしましょう。
触られるといいことがある、と認識させることで、スキンシップへの警戒心を和らげていきましょう。
爪切りなどの器具におびえていることもある
爪切りを警戒してしまう子の場合は、まず爪切りを床に置き、その近くにおやつを置いておくようにします。
爪切りを気にせずおやつを食べられるようになってから、今度は飼い主さんが爪切りを持ち少しずつワンちゃんに近づけていきましょう。
その時もおやつをあげながら徐々に慣らしてあげるのがポイントです。
もし嫌がったら一つ前の段階へ戻すようにして、根気強く取り組んでいきましょう。
一日で何とかしようとせず、毎日ちょっとずつ慣れさせることで、最終的に爪切りへの警戒を解くことができるはずです。
来客時はおやつを与えながら対面させる
来客に対していい印象を持たせるために、来客に対して唸る子にはおやつを与えながら対面させるようにしましょう。
来客が友人知人の場合は、お客さんからおやつをもらうようにするのもいいかもしれませんね。
繰り返していくことで初めて会う人に対しての警戒心を解いていくことにつながり、唸る頻度も少なくなっていくでしょう。
もしチャイムが鳴って唸るときは、チャイムが鳴ると知らない人が来るというのを学習していて、追い払おうとしているのかもしれません。
なかなか改善しない時にはチャイムの音を変えてみるのも一つの方法です。
トレーニング時の3つのポイント
唸り癖を改善したいときのトレーニング時のポイントは下記の3つです。
- 唸っているときにはおやつをあげない
- 犬が集中できる時間は10分~15分程度
- できれば子犬の頃からトレーニングを
ポイントをおさえることで効率よくトレーニングをすることができ、しつけの効果も出やすくなるはずです。
ぜひ、日々のトレーニングに取り入れていただきたいと思います。
唸っているときにはおやつをあげない
ワンちゃんが唸っているタイミングでおやつをあげてしまうと「唸ればおやつがもらえる」という風に勘違いして認識されてしまうことがあります。
唸り癖を改善していくには、良いことをすると良いことが起こるという仕組みを理解させることが重要です。
良いこと、つまり唸りを辞めたタイミングでご褒美をあげることが効果的にしつけをするポイントなのです。
悪い行動を叱るよりも、良い行動をしたときに褒める、おやつをあげるなどのご褒美をあげることで唸り癖を改善していきましょう。
犬が集中できる時間は10分~15分程度
ワンちゃんのしつけをするときは短時間で行うことを意識しましょう。
犬は長時間集中力を維持してできません。
しっかりと集中できる時間は大体10分~15分程度と言われています。
それ以上になると飽きてしまって、しつけの効率も下がり効果が出にくくなってしまうのですね。
ワンちゃんの集中力が切れてきたなと感じたら、半日や1日程度の十分な時間をおいてからしつけを再開するようにしましょう。
短時間のしつけを毎日、のような形で、根気よく続けていくのがポイントです。
できれば子犬の頃からトレーニングを
ワンちゃんがまだ子犬であれば、早い段階から社会性を養っていくことで大きくなっても唸りにくい犬に育ちます。
生後3ヶ月頃までは、男性女性、大人子供などいろんな人からおやつをもらうようにすると、はじめて会う人に対して警戒心を抱きにくくなります。
さらに生後半年までのうちに車や自転車、人ごみなどの外の世界を体験させることで、大人になった時不要な恐怖心を感じにくくなります。
何より子犬のうちから飼い主さんとよくコミュニケーションをとることによって強い信頼関係を築いていくことができます。
ワンちゃんも飼い主さんと一緒にいることで自信を持ち、あらゆる状況下で落ち着いて行動することができるようになるのですね。
また、2021年にコロンビア大学の研究チームが発表した内容によると、犬と接した経験が少ない人は犬が恐怖を感じているサインを30%しか読み取れず、平均的な飼い主は60%読み取ったという研究データがあります。
犬と過ごす時間が多いほど、飼い主さんもワンちゃんが発するボディランゲージを読み取りやすいということですから、子犬のことから積極的にコミュニケーションをとることを心がけましょう。
まとめ
犬が唸る理由は威嚇のためだけではなく、そこには様々なメッセージが含まれています。
紹介した中には飼い主さんが考えていなかったような意外な理由もあったのではないでしょうか。
ワンちゃんが何に対して唸っているのか、何を伝えたくて唸っているのかがわかれば、最適な対処法を見つけられます。
また、ワンちゃんのメッセージを正しく理解することは、これからのコミュニケーションにもきっと活きてくるはずです。
これを機に、何気ない日常しぐさからワンちゃんの気持ちを考えてみるのもおすすめですよ。