お散歩中にワンちゃんが道端の草を食べ始めてしまうことはありませんか?
何か意味があってやっているのかもしれないし、やめさせていいものなのかわからない。
そんな風に悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
この記事では主に下記の内容について紹介していきます。
- 犬が草を食べる理由5つ
- 犬が草を食べたがる時の注意点3つ
- 草を食べるのをやめさせたいときの対策3つ
犬がなぜ草を食べているのか、その理由を知ることは、ワンちゃんの気持ちを考えるきっかけになったり、ワンちゃんの体調を知る一つの目安となったりします。
草を食べたがる時の注意点や、飼い主さんができる対策についても解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
犬が草を食べる理由5つ
犬が散歩中に道端の草を食べる主な理由は主に下記の5つです。
- お腹の調子が悪い
- 草から特定の栄養素を補給しようとしている
- 何かをごまかしている
- ストレス
- 純粋に草が好き
ここから順番に解説していきます。
お腹の調子が悪い
犬はお腹の調子が悪いなと感じると、それを解消させるために草を食べることがあります。
草を食べて嘔吐を促し、胃の中のものを出すことでムカムカした感覚をすっきりさせようとしていることがあるのですね。
犬は人よりも頻繫に嘔吐する生き物で、そうやって自分で体調を整えようとしていることも多いのです。
ですので、ほとんどの場合は嘔吐してもそのまま様子を見ていて大丈夫。
ただいつまでもスッキリした様子がなく吐き気が収まらないときは要因が別にあることも考えられますので、一度動物病院で相談してみましょう。
あまりに草を食べすぎるときは要注意
あまりに多く草を食べている時は、それだけお腹の不調が気になっているというサインかもしれません。
ただ胃がムカムカしているというだけでなく、消化器系の病気や寄生虫によって引き起こされる病気にかかっていて重い症状が出ている可能性も考えられます。
食べる量が明らかに多い時や、普段は食べない草を急に食べるようになった時などは、念のため動物病院を受診してみることをおすすめします。
草から特定の栄養素を補給しようとしている
本能的に体が必要としている栄養素を感じ取って、それを補うために草を食べているということがあります。
基本的にはドッグフードを食べていれば栄養は摂れているはずですが、例えばビタミンやミネラルなどが不足しているともあるようですね。
もしくはただごはんの量が物足りず「もっと食べたい」という欲求の現れであることも考えられます。
何かをごまかしている
まだ帰りたくないのに帰る雰囲気を感じ取った時や、やりたくないことを指示されたときなどにも、犬は草を食べることがあります。
そうすることで飼い主さんの気をそらし、ごまかそうとしていると考えられています。
ストレス
犬はストレスを感じている時にも草を食べるといわれています。
飼い主さんにかまってもらいたい、飼い主さんの気を引きたいと思う気持ちが、一生懸命草を食べるという行動につながっているのですね。
飼い主さんを草のある所に引っ張ってまで草を食べようとするときなどは、ワンちゃんにストレスが溜まっているサインかもしれません。
犬が抱えるストレスの原因の一例
- 運動不足
- 留守番が多くて退屈
- 環境の変化があって落ち着けない
犬は繊細な動物でもあり日常の変化にも敏感です。
ストレスをため込んでしまうことがないよう、原因として思い当たるものがないか考えてみましょう。
純粋に草が好き
単純にその草の味が好き、草をブチブチと嚙み切る感覚が好きだから食べているということもあります。
いつも同じ場所で草を食べている時は特定の草の味を気に入っている可能性があります。
草を噛むけど飲み込まない場合は、遊びの一つとして楽しんでいるのかもしれませんね。
犬が草を食べたがる時の注意点3つ
犬が草を食べたがる時に、飼い主が注意しなくてはいけない主な点は下記の3つです。
- 犬が食べてはいけない草がある
- 除草剤が撒かれている可能性もある
- 安全が確認できない場合は念のため食べさせない
ワンちゃんが自分で回避することができない危険もありますので、飼い主さんも気を付けてあげるようにしましょう。
犬が食べてはいけない草がある
道端にはえている植物にも毒性のあるものがあります。
犬にも防衛本能があり、基本的には毒性のあるものは避けるためそこまで神経質になることはありません。
ただ、犬が好んで噛んだり食べたりするイネ科の草の中に毒性のあるものが紛れている場合や、手当たり次第に噛んでしまう子の場合も飼い主さんが注意してあげることが大切です。
普段なじみのある植物の中で毒性のあるものを一部紹介します。
散歩コースにこれらの植物が生えていないかもチェックしておくといいでしょう。
草の名前 | 危険性 |
---|---|
アサガオ | 種子に毒があり、摂取すると下痢、嘔吐、血圧低下の症状が出ることがある。 |
アロエ | 摂取すると貧血や血尿を引き起こす。 |
アジサイ | 根、茎、葉、つぼみにアミグダリンという毒性のある成分が含まれている。 科呼吸やけいれん、麻痺などの症状が出ることがある。 |
シクラメン | 毒性が強く摂取すると神経に異常が出て最悪の場合死に至ることも。 |
チューリップ | すべての部分に毒性があるが、特に球根には強い毒性があり、心臓の動きに支障をきたす。 同じユリ科の植物には毒性のあるものが多いので注意。 |
ツツジ | 葉、花に毒性があり、摂取量が多いと死に至ることも。 ツツジ科の他の植物にも注意が必要。 |
スズラン | 摂取すると嘔吐、めまい、血圧低下を引き起こすことがある。 |
スイセン | 球根に強い毒性があり、中枢神経麻痺や血圧低下を引き起こすことがある。 |
イチョウ | いわゆる銀杏の実の部分には中毒症状を引き起こす物質が含まれていて、下痢、嘔吐、呼吸困難などを起こすことがある。 |
パンジー | 種子、根、茎に毒性があり摂取すると嘔吐や神経麻痺の症状が出る。 |
除草剤が撒かれている可能性もある
除草剤が多くついた草を食べてしまうと、嘔吐、けいれん、かゆみなどの症状が出ることがあります。
公園や歩道などの公共の場では、除草剤が撒かれえている場所では看板が出ていたり張り紙がしてあったりするので、散歩コースにそのような注意喚起がないか確認しておきましょう。
吐く回数が多い時は要注意
犬は胃をすっきりさせるために嘔吐することがあるとお伝えしていましたが、通常であれば1~3回ほどで落ち着きます。
何度も吐いてしまうときや吐き気が収まらないときは、除草剤がついた草や毒性のあるものを食べてしまったのではと疑ってみましょう。
このような異常を感じたらすぐに、動物病院で診てもらうようにしましょう。
安全が確認できない場合は念のため食べさせないほうが安心
除草剤が使われているかわからない時や、食べても大丈夫な草かわからない時など、安全性が確認できないときは念のため食べさせないほうが安心です。
犬が草を食べたがる意味を考えて、別の方法で補ってあげるのが理想です。
犬が草を食べるのは自然なこと
健康な犬でも草を食べるという行動は自然に起こることです。
これはアメリカのカリフォルニア大学の獣医師らが発表した論文でも述べられています。
なので、草を食べさせてはいけないということはありませんが、毒性のあるものや除草剤の使われた草を食べてしまう危険を考えると基本的には食べさせないほうが安心と言えます。
草を食べるのをやめさせたいときの対策4選
ここで紹介する、犬が草を食べるのをやめさせたいときにできる主な対策は下記の4つです。
- 呼び戻しのしつけをする
- 欲しい栄養を補えるフードに変える
- 草よりもおいしいと感じられる代替品を探す
- 原因となっているストレスを解消させてあげる
順番に解説していきます。
呼び戻しの訓練をする
呼び戻しとは、愛犬の名前を読んだら飼い主のもとに戻ってきてくれるしつけのこと。
呼び戻しの訓練をすることで、何かに夢中になってしまった時も戻ってきてくれますよ。
普段のアイコンタクトなどで、信頼関係を作るのも重要です。
呼び戻しの教え方については、以下の動画をご覧ください。
ドッグトレーナーであり、犬のしつけ教室も運営されている金倉さんが「呼び戻しの直し方」について解説しています。
欲しい栄養を補えるフードに変える
ドッグフードだけでは足りない栄養素を補おうとして草を食べる子には、フードを変える、またはフードにトッピングを追加するなどして普段のフードで栄養素を補えるようにしてあげましょう。
ビタミンが多く含まれているドッグフードを選ぶ、または野菜多めのウェットフードをトッピングするなど、試しながら様子を見てみましょう。
追加を検討する栄養素の例
犬が草を食べるときは下記の栄養素が不足していることが多いので、フード選びの参考にしてみてください。
- ビタミン
- ミネラル
- 食物繊維
- 葉酸
- 善玉菌など腸内環境を整える働きがあるもの
草よりもおいしいと感じられる代替品を探す
草の味が気に入っている子の場合には、キャベツなどの野菜をフードと一緒に与えてみてもいいかもしれません。
草よりもおいしいと思えるお気に入りが見つかれば、散歩中に草を食べることもなくなっていくはずです。
安全な草を自家栽培する
どうしてもイネ科の商物がお気に入りということであれば、専用の栽培キットなどを活用するという方法もあります。
イヌムギなどのイネ科の植物を安全に自家栽培できるので、ワンちゃんが食べても安心です。
原因となっているストレスを解消させてあげる
ストレスが原因であることが疑われるときは、何がワンちゃんのストレスになっているのか見極めて解消してあげる必要があります。
留守番が多くて寂しい思いをしていないか、散歩の頻度は十分かなど、思い当たることがあれば改善していきましょう。
どんな草を、どんな様子で食べているか観察しよう
ワンちゃんがどんな草を好んで食べているのか、普段からよく観察しておくようにしましょう。
犬が食べてはいけない毒性のある植物を誤って食べてしまってはいないかの確認と、代替の植物を自家栽培するときの参考にもなります。
また、草を食べている様子に違和感があると思ったら動画に取っておくのもおすすめです。
動物病院で診てもらうときに医師に動画を見てもらうことで診断がしやすくなることがあります。
まとめ
犬が散歩中に草を食べること自体は自然な行動ですから、過度に心配をする必要はありません。
しかし、道に生えている植物の安全性を考えるとできれば食べさせないほうが安心です。
飼い主さんがすべての植物の毒性について把握するというのも現実的ではありませんし、除草剤が使用されているかどうかを注意喚起の有無だけで判断するのは不確実です。
代替のフードを用意するか、草を食べる理由となっているものを解消してあげるなどして、ワンちゃんの安全を第一とした対策をしてあげるようにしましょう。