ワンちゃんの目が赤くなっている時、病院へ連れていくか判断に迷ってしまうこともあると思います。
目が赤くなる症状には、様子を見ていれば治ってしまうものから、放置すると最悪の場合失明してしまうようなものまで様々な原因が考えられます。
この記事では主に下記の内容について紹介していきます。
- 犬の目が赤くなる2つの理由
- 犬の目が赤い時に考えられる病気
- 様子をみてもよい症状と病院で診てもらうべき症状
- 犬の目が赤い時の対処法・予防法
もし原因が目の病気だった場合、早期発見による早い段階からの治療が何より大切です。
ワンちゃんの目が赤いと気づいた時、最適な対処をしてあげられるよう、考えられる原因や症状の特徴について把握しておきましょう。
犬の目が赤くなる2つの理由
犬の目が赤く見える理由は大きく分けて下記の2つです。
- 充血している
- 出血している
赤く見えている理由がどちらなのかが、原因を見極めるポイントにもなってきます。
充血している
充血は、血管を流れる血液の量が増えることで起こります。
眼球の細い血管は普段は目立ちませんが、血流量が増え血管が広がるとわかりやすくなります。
そのため血が出ているわけでもないのに目が赤く見えるのです。
出血している
何かしらの原因で眼球の血管が傷つくと、そこから出血して目が赤くなります。
出血というと外傷を思い浮かべることが多いですが、病気が原因で出血が起きることもあります。
犬の目が赤い時に考えられる病気
犬の目が赤くなっている時、考えられる病気は主に下記の5つです。
- 結膜炎
- 角膜潰瘍
- 緑内障
- ぶどう膜炎
- 網膜剥離
目にかかわる病気は、対処が遅れると生活に影響するような後遺症が残ることも。
おうちのワンちゃんに下記の症状がでていないかを確認しながら、目を通してみてください。
結膜炎
結膜とは、白目の表面からまぶたの裏側を覆う粘膜のことです。
細菌やウイルス感染、ドライアイ、免疫異常などによってこの粘膜に炎症が起こることで、結膜炎になります。
角膜炎やアレルギー症状などから二次的に発症することもあり、粘膜が赤く腫れるほか、黄色や緑がかった目やにが出る、涙が増える等の症状が出ます。
角膜潰瘍
角膜とは、黒目部分を覆っている透明の膜のことです。
この部分が傷つくことを角膜潰瘍と言います。
さらにそこに炎症が起こると、角膜炎を引き起こします。
角膜炎を起こすと黒目が白く濁って見えることもあります。
強い痛みを生じるため、まばたきの回数が多くなったり涙の量が増えたりするのも特徴です。
角膜が傷つく原因には外傷、乾燥、細菌やウイルス感染、逆さまつげ(異所性睫毛)、ドライアイなどがあります。
初期は抗生剤やヒアルロン酸などの目薬による治療が主ですが、原因や状況にあった目薬でない場合は傷を悪化させて逆効果になることもあります。自分の判断で目薬を始めるのはやめましょう。
また、症状が出てから1-2日で角膜に穴があいて失明することもあるため、早期に獣医師に診てもらいましょう。
角膜に穴があいてしまった場合や穴があくリスクが高い場合には手術が必要になることもあります。
緑内障
緑内障は網膜や視神経に障害が出て、視覚が低下する病気です。
主に眼圧が高くなることが網膜や視神経障害の原因となります。
眼圧が急上昇する急性期には目の充血が見られるほか、痛みから目が開けられなくなり、元気や食欲がなくなることもあります。
適切に治療しないと、48時間程度で失明すると言われています。
慢性期に入ると目の充血が残りますが、痛みは麻痺してくるため目をひらくようになり、元気や食欲も回復します。
しかし、視覚が回復することはありません。
この時期には、目が大きく飛び出して見えることもあります。
初期は症状がほとんどないため、緑内障の発症自体に気づきづらいです。
急性期に入っても痛みや白目の充血の症状から、結膜炎など他の病気と誤診されやすいのも特徴です。
誤診されやすいので、治療の開始が遅れ、1-2日で失明することもあります。
視覚を温存するためには、緑内障を早期に発見し、治療を開始することが大事です。
一度発症すると治ることはなく、生涯治療が必要です。
治療を続けていても進行する病気なので、痛みが強い場合には疼痛緩和のために眼球摘出術や眼内シリコン義眼術などの外科手術を行うこともあります。
ぶどう膜炎
ぶどう膜というのは、以下の3つからなります。
- 瞳孔の大きさを変えて、眼内に入る光の量を調節する
- 眼内の水分量やピント調節をする毛様体
- 網膜に栄養供給をする脈絡膜
ぶどう膜炎を発症すると、白目が赤くなる、瞳孔が小さくなる、涙や目やにが増える、目をショボショボさせる等の症状も現れます。
ぶどう膜炎の原因には、白内障や目の腫瘍などの目の病気だけでなく、外傷・感染症、目以外の腫瘍や他の体の病気が原因となることもあります。
全身疾患が原因の場合には、命にかかわることもありますので、動物病院で詳しい検査を受けることをおすすめします。
ぶどう膜炎から緑内障や白内障を併発することもあります。
網膜剥離
網膜には視覚にかかわる神経が集まっていて、その網膜が剥がれてしまうことを網膜剝離といいます。
目の中で出血を伴うこともあり、その場合は黒目部分が赤くなるのが特徴です。
目の中で炎症も起きると、白目に充血が見られることもあります。
見た目にはわかりにくく、ワンちゃんの目が見えなくなっていることに気づき、病院に行くことで発覚することが多いです。
片眼だけ発症した場合には、見えなくなっていることにも気づきづらく、病院での検査で初めて気づくこともあります。
ワンちゃんが目で物を追わない、反応が鈍いという場合は要注意です。
様子をみてもよい症状と病院で診てもらうべき症状
犬の目が赤くなっている時、家庭で様子をみてもよい症状と病院で診てもらうべき症状を判断するポイントを解説します。
ただ、中には一見しただけでは見分けるのが難しい症状もあります。
放置すると危険な病気の可能性もありますので、判断に迷う時には病院で検査を受ける方が良いでしょう。
様子をみてもよい症状
特に目を気にする様子もなく、体調に変化も見られないということなら、病気ではなく生理現象からくるものの可能性が高いです。
数十分程度でおさまる場合は、ひとまず家庭で様子を見ても大丈夫でしょう。
病院で診てもらうべき症状
目の赤みと一緒に下記のような症状が見られる際は、何かしらの病気が原因である可能性があります。
- 目が完全には開かずショボショボとしている
- 涙・目やにが増える
- 目をしきりに擦る
- よく見ると黒目が赤く見える
- 嘔吐がある
眼圧が上がることで吐き気が起こったり、元気が無くなったりすることもあります。
このような異変を感じたら、できるだけ早く動物病院で検査を受けるようにしましょう。
犬の目やにの原因は?病院を受診すべき症状と家庭での対処法も解説
犬の目が赤い時の対処法・予防法
どうしても病院にすぐに行けない場合にのみ、下記の対処をするようにしましょう。
犬の目が赤くなっている時の主な対処法・予防法は下記の3つです。
- エリザベスカラーをつける
- 異物を取り除く
- 目の周りを清潔に保つ
ただ、病気が原因の場合は自宅でのケアによって改善させることは難しいです。
これらの対処法で様子を見て、よくならないようであれば病院で診てもらいましょう。
急激に病気が悪化することもあるので、半日以上様子を見ることは危険です。
可能な限り症状が出たその日のうちに病院を受診するようにしましょう。
エリザベスカラーをつける
目が赤くなっている時は、こすったり触ったりしてしまうと症状が悪化することがあります。
ワンちゃんが目を擦ってしまう時には、エリザベスカラーをつけて患部を触らせないようにしましょう。
ただ、これはあくまで応急的な対策であり、根本的な解決策にはなりません。
ワンちゃんが目を気にしているということは痛みやかゆみなど、何かしらの違和感が生じている証です。
原因を特定するためにも、動物病院で早めに検査を受けることをおすすめします。
異物を取り除く
目に砂やほこりなどの小さな異物が入ってしまった場合には、精製水や水道水を使って洗い流してあげると良いでしょう。
人間用の洗浄液や目薬には刺激のある成分が含まれている場合があり、自身の判断で使用するのは危険ですので注意しましょう。
異物がまぶたの裏や瞬膜の裏に入り込んでしまうと、ご自宅での洗浄だけでは取り除けず、角膜の傷の原因となることもあります。
症状が続く場合には、動物病院で検査と処置を受けてください。
目の周りを清潔に保つ
普段から目の周りを清潔に保つことも、目のトラブルの予防になります。
乾いた目やにが目に入ったり、涙で濡れた毛に細菌が繁殖したり、ということもあります。
濡らしたコットン等で優しく拭いてあげるようにしましょう。
目の病気はなにより早期治療が重要
目に関する病気には、重症化するとその後の生活に大きく影響する後遺症が残るものもあります。
最悪の場合、視力や眼球自体を失うような危険なものも。
早期発見による早い段階からの治療がなにより大切になりますので、日ごろからワンちゃんの様子をよく観察しておくようにしましょう。
ワンちゃんと長く健康で過ごせるよう、日々のコミュニケーションの中で体調をチェックする習慣をつけると良いでしょう。