犬の毛が抜ける原因は?考えられる病気と対策について解説

犬の毛が抜ける原因は?考えられる病気と対策について解説 犬の病気・トラブル

犬は換毛期と呼ばれるタイミングでごっそりと毛が抜けることがあります。

これは犬にとって自然なことですので、特に心配する必要はありません。

しかし換毛期以外で激しく毛が抜ける場合は、何らかの病気によって引き起こされている脱毛の可能性があります。

この記事では主に下記の内容について紹介していきます

  • 病気以外で犬の毛が抜ける4つの原因
  • 犬の毛が抜ける時に考えられる病気
  • 病院に連れていくべき脱毛の症状
  • 犬の毛が抜ける時の5つの対処法

もし病気が原因の場合は、早期発見によって早い段階で治療を始めることで、ワンちゃんの体への負担を軽減することができます。

考えられる原因と症状の特徴などを把握し、最適な対処ができるよう備えましょう。

この記事の監修者
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konomi動物病院院長
栗尾雄三先生
大阪府出身、2012年山口大学農学部獣医学科卒業後、開業動物病院の勤務を経て、2014年横浜にて開業。2018年に拠点を広島に移し、konomi動物病院を開院。一次診療から高度医療まで幅広く対応。趣味はギターの弾き語りやスノーボードなど。夢はレジャーランドの建設。

 

病気以外で犬の毛が抜ける4つの原因

犬 毛が抜ける

犬の毛が激しく抜ける時、病気以外で考えられる原因は主に下記の4つです。

  • 換毛期
  • ストレス
  • 栄養不足
  • 老化

原因次第で飼い主さんができるサポートも変わってきます。

まずは何が脱毛の原因をなり得るかを把握し、ワンちゃんに当てはまる症状が出ていないかなどをチェックしてみましょう。

換毛期

犬は春と秋の年2回、換毛期と呼ばれる毛が抜け変わる時期があります。

体の構造上毛が抜けやすくなっている時期ですから、このタイミングでの抜け毛は犬にとっても自然なことです、

犬の毛は二層に分かれており、上毛をオーバーコート、下毛をアンダーコートと呼びます。

オーバーコートは太さがあるしっかりとした毛で、皮膚を保護する役割を持っています。

一方アンダーコートはやわらかい毛質で、皮膚の保湿、保温の役割があります。

つまりは冬毛から夏毛、夏毛から冬毛にかわるために、換毛期に前のシーズンの毛が抜けるようになっているのです。

換毛期があるのはダブルコートの犬種

アンダーコートを持たない犬種のことをシングルコートと呼び、シングルコートの犬には換毛期がありません。

その代わり1年を通して少しずつ毛が生え変わっていきます。

一方、オーバーコートとアンダーコートの両方を持っている犬種をダブルコートといい、換毛期かあるのはこのダブルコートの犬です。

柴犬、ロングコートチワワ、ダックスフンド、サモエド、ゴールデンレトリーバー、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークなどが、ダブルコートの犬に当てはまります。

ストレス

犬は非常に繊細な動物でもあり、ストレスが溜まると体調に影響してしまうことがあります。

犬の場合はストレスによって毛が抜けることもあり、また過剰に体を舐める、毛を噛んでむしるという行動から体毛が薄くなってしまうことも。

特に足先や太ももに症状が多く出る傾向にあります。

栗尾院長
konomi動物病院 栗尾先生

足先を舐めたり噛んだりする子は本当にたくさんいます。

ちょっとしたクセだったり、暇つぶしのようなものかもしれませんが、イライラしたり、ストレスを溜め込んでいる時にも見受けられます。

あまりに舐め過ぎて、毛がうすくなったり、赤くなってくる場合は、相当の治療が必要になるケースがあります。かゆみ止めなどで多くのケースは対応が可能です。

栄養不足

栄養不足の状態が長く続くと脱毛を生じることがあります。

毛が成長するためには亜鉛、アミノ酸、ビタミン、必須脂肪酸などの栄養素が欠かせません。

亜鉛、ビタミンは皮膚や被毛の増殖を促進し、アミノ酸には被毛の主成分であるケラチンを作り出す効果があります。

必須脂肪酸は、毛を支える健康な皮膚を維持するために必要な栄養です。

これらの栄養素が不足すると健康な毛をつくったり維持したりすることが難しくなり、脱毛につながってしまうことがあるのです。

老化

シニア犬になると、健康な皮膚を維持したり毛に栄養を送る機能が低下したりします。

そうなると毛が細く薄くなり、毛が抜け落ちてしまいやすくなるのです。

また加齢によって抵抗力が落ちると、病気にもかかりやすくなります。

何らかの病気が原因の脱毛も起こしやすくなってしまうのですね。

犬の毛が抜ける時に考えられる病気

犬 元気ない 体調不良

犬の毛が抜ける際に考えられる病気には、大きく分けて4つの種類があります。

  • 感染症
  • アレルギー性疾患
  • ホルモン性疾患
  • 遺伝性疾患

それぞれの症状や発症しやすい犬種なども紹介していきます。

感染症

脱毛の症状が出る感染症には、膿皮症、皮膚糸状菌症、ニキビダニ症、マラセチア皮膚炎などがあります。

それぞれの特徴について見ていきましょう。

膿皮症

膿皮症は、犬の皮膚や粘膜に常在しているブドウ球菌が原因で発症します。

体から足の広い範囲にかゆみが出て、脱毛だけでなく湿疹、赤み、フケ、かさぶた、などの症状も合わせて見られることが多いです。

幅広い犬種で起こりますが、特にジャーマンシェパードやブル・テリアは重症化しやすい傾向にあります。

抗菌作用のあるシャンプーを使ったり、抗菌剤の投与を受けたりする治療法が効果的です。

皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症というのは、皮膚糸状菌というカビに感染することで発症します。

症状としては犬の足先や頭に、フケやかゆみを生じる脱毛が起こります。

基本的にかゆみは軽度なことが多いです。

ヨークシャーテリアによく見られる病気で、特に重症化しやすいとされています。

栗尾院長
konomi動物病院 栗尾先生

カビの感染の注意点は、人間にもうつる可能性が高いということです。

なので、生活環境の見直しから入らないといけません。ペットの使用した寝具や洋服、食器やトイレなどできるだけ清潔に保つように心がけましょう。

あとは、飼い主様の手洗いなどをしっかりすることが重要です。

ニキビダニ症

ニキビダニ症は、犬の皮膚に常在する寄生虫が増殖することによって発症します。

軽いかゆみから激しいかゆみまで、重症度に応じて症状には差が出ます。

子犬などの若い犬、発情期を迎えたメスの犬、シニア犬に対してよく見られ、脱毛、炎症、発疹、皮膚病の原因となります

マラセチア皮膚炎

マラセチアとはカビの名前で、皮膚上でマラセチアが増殖してしまうことで皮膚炎を発症することがあります。

脱毛だけでなく、皮膚が腫れて厚くなる、色素沈着を起こす、独特の臭いが出るなどの症状が合わせて見られます。

柴犬、シーズー、アメリカン・コッカー・スパニエル、パグ、ウエスト・ハイランド・ホワイトテリアなどが、マラセチア皮膚炎を発症しやすい犬種として知られています。

アレルギー性疾患

脱毛を生じるアレルギー性疾患は大きく分けて下記の2種類があります。

  • アトピー性皮膚炎
  • 食物アレルギー

アレルギーの原因を自力で見つけ出すのはかなり大変な作業です。

もしアレルギーが疑われる場合には、一度動物病院でアレルゲン検査を受けてみるのも良いでしょう。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、ダニや花粉などの環境中のアレルゲンに対する粘液反応によって起こります。

目や口の周りなどに脱毛や赤み、かゆみなどの症状が現れるのが特徴です。

根治は難しく、薬やスキンケアによって症状の過全を目指して治療をしていきます。

柴犬、フレンチブルドッグ、ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア、シーズーなどによく見られます。

その他の犬種でも、生後6か月~3歳頃までの若い犬が発症しやすい傾向があります。

食物アレルギー

犬の食物アレルギーは、主に食べ物に含まれるタンパク質に反応することで起こります。

こちらも目や口の周りに強いかゆみ出ることが多いです。

1歳以下の子犬は特に症状が出やすいとされています。

栗尾院長
konomi動物病院 栗尾先生

アレルギー体質の獲得は多くは1歳前後の若齢期だと言われています。

そして、アレルギー体質というのはそのアレルギーのもととなるアレルゲンを摂取・接触することにより決定されます。なので、おすすめしているのは、とにかく1歳を過ぎるまでは、あまり、いろいろなものを与えないように注意するということです。

おやつを与えるにしても4種類も5種類も用意するのは得策ではありません。1種類だけにしておく方が無難だと言えます。

ホルモン性疾患

脱毛を生じるホルモン性疾患は主に下記の2つです。

  • クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
  • 甲状腺機能低下症

どちらも中高齢の犬に多く見られる疾患ですので、シニア犬のワンちゃんがいる際は、特に注意が必要です。

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

クッシング症候群とは、腎臓の傍にある副腎という器官から分泌される「コルチゾール」というホルモンが出すぎることが原因の病気です。

犬によく見られるホルモン異常の病気の1つで、進行すると脱毛だけでなく、免疫力の低下や皮膚炎、膀胱炎になりやすくなります。

体の両側が対称に脱毛し、症状が悪化すると皮膚に石灰のようなものが沈着するのも特徴です。

ダックスフンド、トイプードル、ビーグルなどの犬種が発症しやすいといわれています。

甲状腺機能低下症

毛の生え替わりを促進する、チロキシンという甲状腺ホルモンの分泌が減ることで発症します。

シニア期に入った中型犬、大型犬によく見られる病気で、さらに避妊手術をしたメスは、未手術のメスよりも発症例が多くなっています。

クッシング症候群と併発することもあり、お腹、尻尾、首などが部分的に脱毛するのが特徴です。

基本的にはホルモン剤の投与によって治療を行いますが、完治させるのは難しい病気です。

遺伝性疾患

脱毛を生じる遺伝性疾患は主に下記の4つです。

  • パターン脱毛症
  • 脱毛X(毛周期停止)
  • 淡色被毛脱毛症
  • 黒色被毛形成異常症

これらは若齢犬に対して多く見られる病気ですので、若いワンちゃんがいる場合には特に気をつける必要があります。

パターン脱毛症

パターン脱毛症は遺伝的な要素が関係する皮膚疾患で、毛が細くなって脱毛してしまう病気です。

背中や足先に症状が出ることはまずなく、お腹に左右対称性の脱毛が見られるのが特徴です。

ボストン・テリア、ミニチュア・ダックスフンド、ミニチュア・ピンシャー、チワワなどの若齢犬が発症しやすいとされています。

松果体ホルモンの投与を受けることで、症状が改善する場合もあります。

脱毛X(毛周期停止)

脱毛XとはアロペシアXとも言い、体全体に脱毛が広がりますが、頭と足には症状が出ないことが特徴です。

基本的にはかゆみや赤みが出ることはありません。

パピヨン、トイプードル、チワワ、ポメラニアンなどの若齢犬や未去勢のオスの犬に多く見られる傾向にあります。

淡色被毛脱毛症

淡色被毛脱毛は、ブルー、グレー、シルバーなどの淡い色合いの毛を持つ犬種に発する病気です。

淡い色の毛が生えている部分に局所的に脱毛が起こります。

かゆみや赤みの症状はなく、若い犬が発症することが多いです。

黒色被毛形成異常症

黒色被毛形成異常症は、2色以上の毛をもつ犬が発症する病気です。

淡色被毛脱毛症とは反対に、黒色の毛が生えている部分が脱毛します

かゆみや赤みの症状はなく、若い犬が多く発症します。

病院に連れていくべき脱毛の症状

毛が抜ける時は病院へ連れて行くべき?

毛が多く抜けている時でも、かゆみや赤み、フケ、臭いなどの症状がなく、地肌も見えていないなら、基本的に心配する必要はありません。

もし、脱毛箇所や全身に下記のような症状が見られる場合には、一度動物病院で検査を受けておくのがおすすめです。

  • 左右対称に脱毛している
  • 脱毛箇所から地肌が見えている
  • 皮膚に赤みやかゆみが出ている
  • フケが多く出る
  • かさぶたができている
  • 皮膚がにおう

愛犬にこのような症状が現れている時は、早めに病院を受診するようにしましょう。

特にかゆみなどの症状が出ている時は、ワンちゃんにとっても辛い状態です。

原因を特定し最適な治療を受けられるようサポートしてあげましょう。

犬の毛が抜ける時の5つの対処法

毛が抜ける時の対策は5つ

犬の毛が抜けてしまう時にできる対策は、主に下記の5つです。

  • フードを見直す
  • 肌トラブル対策をする
  • ストレスを軽減する
  • 定期的に健康診断を受ける

毛が抜けてしまう原因ごとに、飼い主さんができる対処方法についてまとめています。

もし思い当たる原因があるようなら、対応したものから試してみて下さい。

ただ、中にはお家での対策だけでは改善が難しい症状もあります。

いろいろ試したけど良くらない場合には、獣医師に相談してアドバイスをもらいましょう。

フードを見直す

すでにお伝えしていたように、毛が成長するためには亜鉛、アミノ酸、ビタミン、必須脂肪酸などの栄養素が欠かせません。

いつも与えているフードの栄養表示欄を見直し、不足している栄養素はないかチェックしてみてください。

必要に応じて、上記のような栄養素が豊富に含まれているフードに切り替えたり、栄養補助のサプリメントを与えるのも良いでしょう。

もし自分で選ぶのが難しい場合は、獣医師さんと相談して決めるのがおすすめです。

肌トラブル対策をする

皮膚疾患の予防のためにはこまめなブラッシングと定期的なシャンプーが効果的です。

シャンプーは月に1~2回は行い、皮膚の衛生を保つようにしましょう。

またワンちゃんが皮膚をかゆがる時には、かきむしって肌が傷つくのを防ぐために通気性のいい服を着せたり、爪を短く切ったりしておくと良いでしょう。

ストレスを軽減する

ストレス性の脱毛の場合、ストレスの原因となっているものを解消すれば解決、というわけではありません。

症状に気づいた時には、すでに脱毛部の肌はダメージを負っていることが多いです。

ストレスの緩和と合わせて、皮膚自体の治療も必要であるケースは珍しくありません。

動物病院での治療と並行して、日常生活内のストレスをできるだけ遠ざけてあげる工夫が必要なのですね。

何にストレスを感じているかはワンちゃんによって様ですが、例えば下記のような状況は犬にとってストレスになりやすいです。

  • 引っ越しなどで環境が変わって落ち着ける場所がない
  • 運動不足が長い間続いている
  • ひとりの時間が多く寂しい思いをしている

普段からワンちゃんの様子をよく観察し、しぐさや行動からストレスの原因を見極めましょう。

そして「これじゃないかな」というものが見つかった時は、できるだけ改善してあげるようにしましょう。

定期的に健康診断を受ける

病気が原因で生じている脱毛の場合、早期発見による早い段階からの治療が大切です。

とはいえ、どんなに注意していても病気のサインを見極めるのは難しい場合があります。

年に1度は健康診断(ドッグドック)を受けるようにして、万が一病気を発症しても早期発見できるよう備えておくのがおすすめです。

まずは原因を突き止めることが大切

犬

犬の毛が抜ける原因とそこから考えられる病気、そして毛が抜けてしまう時の対策について解説しました。

犬の毛が抜ける理由は多岐にわたり、問題のない脱毛から病院での治療が必要なものまで様々です。

だからこそ、ワンちゃんの脱毛に対処するためにまず大切なのが原因の特定です

ストレスによる症状なのか、栄養不足によるものか、病気によるものか等によって、最適な対処法、治療法は大きく異なります。

ワンちゃんに合った効果的なサポートをしてあげられるよう、原因がわからない時には一度動物病院で検査を受けることをおすすめします。