犬の歯磨きのコツを解説!嫌がる犬に慣れてもらうためのポイントも紹介

犬の歯磨きのコツを解説!嫌がる犬に慣れてもらうためのポイントも紹介 犬の飼い方・暮らし

犬の健康を守るためにも、歯のケアは非常に大切です。

デンタルケアを怠ると歯周病などの病気の原因になったり、歯が弱ることで食事を取りづらくなり体力の低下につながったりすることもありますからね。

しかし、初めから歯磨きを受け入れてくれる犬はなかなかいません。

そのため愛犬の歯のケアに苦労している飼い主さんは多いのではないでしょうか。

この記事では主に下記の内容について解説していきます。

  • 犬に歯磨きが必要な理由2つ
  • 歯磨きのコツ3つ
  • 歯磨きでの注意点3つ
  • 歯磨きを嫌がるときの対処法3つ
  • 歯磨きの代用となるアイテム
  • 歯磨きの頻度とタイミング

歯磨きをする際のポイントや、愛犬が歯磨きを嫌がるときの対処法についても紹介していきますのでぜひ参考にしてみてください。

犬に歯磨きが必要な2つの理由

犬に歯磨きが必要な理由

犬に歯磨きが必要な理由は主に下記の2つです。

  • 歯周病を防ぐため
  • 口臭の予防のため

そもそもどうしてペットの犬には歯磨きが必要なのかというと、原因はペットフードにあるといえます。

野生であれば他の動物を捕って食べることになりますが、その際は歯茎までしっかりと食いついていなければちぎることができません。

つまりは捕食に度に歯や歯茎を擦っているため、これが歯磨きの役割を果たしていたのです。

一方ペットの犬が食べているのは多くが加工されたドッグフードです。

あらかじめ食べやすいよう細かくなっているウェットフードや、粉状にした素材を固めて作っているドライフードなどは歯の間などに残りやすく、ドッグフードを食べているだけでは歯や歯茎に摩擦を与えられません。

そのため、野生の時は必要なかった歯磨きが必要になっているのです。

歯周病を防ぐため

歯の周りに付いた食べカスには細菌が繁殖し、歯垢、歯石となって固まります。

さらに悪化することで、歯周病を引き起こしたり口臭の原因となったりするのです。

犬は虫歯にはなりにくい一方歯周病になりやすく、3歳以上の犬の80%には歯垢の沈着や歯石があり、歯周病予備軍となっているといわれています。

歯周病は悪化するとあごの骨が溶け、歯が抜けてしまうことも。

歯石ができてしまう前にこまめにケアしていくことが大切です。

別の病気を誘発する原因となる可能性も

歯周病では初めは目立った症状が見られなくても、放置すれば口内の細菌が増殖して内臓にも感染が起こるなど、別のトラブルを誘発してしまうリスクになります。

歯周病自体は、ゆっくりと進行していくものなので緊急性はそれほど高くありません。

緊急性はありませんが、決して油断せず早めの対策を心がけるようにしましょう。

口臭の予防のため

歯周病では、歯の表面に付着した歯石がどんどん大きくなり、次第に歯と歯茎の間に入り込み炎症を起こします。

歯石とは歯垢に細菌やミネラル成分がくっついてできるもので、基本的にはほとんどが細菌です。

臭いの特徴としては腐敗臭のような口臭になります。

ワンちゃんの口臭がきつくなると、ついついスキンシップを避けてしまいがちになりコミュニケーションが減ってしまうことも。

そうなってしまってはお互い寂しい思いをすることになってしまいますので、口臭予防のためにも日々のデンタルケアが重要になります。

犬に歯磨きをするときの3つのコツ

犬に歯磨きするときのコツ

犬に歯磨きをする際のコツを3つ紹介していきます。

歯垢を残さずきれいに磨いてあげるためにも、大切なポイントを朝得ておきましょう。

歯ブラシの使い方

歯ブラシは、歯を1本ずつ磨くように少しずつ細かく動かしていきます。

歯垢が溜まりやすい歯と歯茎の間にブラシが届くように角度は、真横ではなく少し立てると良いでしょう。

具体的には歯と歯茎の境目に45度の角度で当てると、歯周ポケットから汚れを掻きだしやすくなります。

力加減

歯磨きの際は、ブラシで歯茎の皮を傷つけないように気をつける必要があります。

歯磨きで痛い経験をしてしまうと、「歯磨き=怖い、痛い」というマイナスのイメージが定着してしまいケアを嫌がるようになる可能性があります。

ワンちゃんの歯を磨き始める前に、自分の手の甲などに歯ブラシを当ててみましょう。

初めにワンちゃんが痛がらない強さを確認しておくことで、必要以上の力を入れて磨いてしまうことを防ぐことができます。

奥歯(臼歯)の磨き方

奥歯(臼歯)を磨く際は、口をめくって歯の外側から磨いていきます。

上の歯は特に口を閉じていても磨けるため、無理にこじ開けようとしなくても大丈夫です。

歯の裏側は磨きにくいため、歯磨き事態に慣れてくるまでは磨かないようにしましょう。

初めのうちは犬が嫌がることを極力避け、歯磨き時に口を開けてくれる等十分に慣れてから歯の裏側などに着手するのがポイントです。

犬に歯磨きする上での3つの注意点

歯磨きの注意点

犬に歯磨きを行う際の注意点は主に下記の3つです。

  • 長時間の歯磨きはしない
  • 人間の歯磨き粉を使わない
  • 歯垢の付きやすい歯は念入りに

順番に詳しく紹介していきます。

長時間の歯磨きはしない

犬が受け入れてくれる時間の中で歯磨きを行い、もし嫌がり始めたらそこで中断してもかまいません。

犬が集中していられる時間は大体15分程度といわれていますから、歯磨きを我慢していられる時間にも限界があります。

1日数回に分けて、短時間で行っていくと良いでしょう。

歯石が付いている時はプロの手を借りる

犬の歯をコーティングするように硬い汚れが覆っている場合、すでに歯垢が歯石化してしまっています。

歯石は歯ブラシなどの家庭のケアで取り除くことが難しく、無理にブラッシングすると力が入りすぎて歯茎の肉を傷つけてしまうことになります。

ついてしまった場合はかかりつけの動物病院に相談し、スケーリングという専門の処置を受けて歯石を取り除いてもらいましょう。

ただ、スケーリングの処置は出血と痛みを伴うため通常全身麻酔で行います。

犬が麻酔を受けることにはリスクもありますので、獣医師とよく相談してから決めるようにしましょう。

人間の歯磨き粉を使わない

人間用の歯磨き粉にはキシリトールという成分が含まれていることが多いです。

キシリトールは犬にとって毒性が強く有害です。

もしそういった歯磨き粉を使ってしまった時には、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

犬の歯磨きの場合は歯ブラシを当てさせてくれるのであれば、それだけで十分な効果があります。

基本的に、歯磨き粉は必要ないということを覚えておきましょう。

歯ブラシに関しては基本的には犬用歯ブラシを使用するのがおすすめですが、人間用のものも使えます。

その際にはブラシの小さな小児用の方が磨きやすいでしょう。

歯垢の付きやすい歯は念入りに

犬の歯には特に歯垢か付きやすい部分があります。

犬の永久歯は全部で42本あり、片側ずつ上あごに切歯3本、犬歯1本、前臼歯4本、後臼歯3本。

下あごに切歯3本、犬歯1本、前臼歯4本、後臼歯3本です。

特に第4前臼歯という、上あごにある一番大きな奥歯が汚れやすいため、特に意識してケアするようにしましょう。

犬が歯磨きを嫌がるときの3つの対処法

歯磨きを嫌がられてしまった時の対処法は、主に下記の3つです。

  • おいしいおやつを用意しておく
  • 歯に触ることから慣れさせる
  • 歯磨きの代用アイテムを活用する

犬が歯磨きを嫌がるときは、歯磨きや歯磨きの道具にマイナスなイメージをもってしまっている可能性があります。

そのため「歯磨き=楽しいもの」という風に、イメージを塗り替えてあげることが重要。

訓練を始めたばかりで歯磨きそのものに慣れていない場合も、ポジティブな印象付けをして歯磨きを受け入れてもらいやすくしましょう。

おいしいおやつを用意しておく

これから歯磨きの練習をしていこうというときにはおいしいおやつを用意して、上手にできたものがあればそのたびに使いながらしつけをしていくようにしましょう。

歯をきれいにしたいのにおやつをあげることに矛盾を感じるかもしれませんが、初めのうちはイメージ作りが何より大切です。

「歯磨き=おいしい」、楽しいと思ってもらえるようお気に入りのおやつを用意しておきましょう。

歯に触ることから慣れさせる

歯磨きをするためには、最終的には口の中に手を入れる必要があります。

その前段階として、まずは歯の外側を触ることから慣れさせていきましょう。

背後から両手で唇をめくって、そのまま指の腹で1秒か2秒ほど歯と歯茎を触ってみましょう。

おとなしくしていてくれた時には用意しておいたおやつをあげるのを忘れずに。

1日で何とかしようとせず、数日かけてゆっくり慣れさせてあげて構いません。

もし歯に触るのに慣れてきたら、歯ブラシを使う前にガーゼや綿棒、歯磨きシートなど、今までの歯に触るような感覚でデンタルケアできる方法をはさんでから、歯ブラシを使うようにしても良いでしょう。

歯磨きの代用アイテムを活用する

犬のデンタルケアには歯ブラシを使ったブラッシング以外にも方法があります。

歯や歯茎の隙間等細かいところまでケアするにはブラッシングが有効ですが、ワンちゃんが嫌がるときや、歯磨きに慣れるまでのつなぎとして取り入れていくこともおすすめです。

付着してしまった歯垢を落とす目的のものもあれば、そもそも歯垢が付かないように予防することが目的のアイテムもあります。

アイテムごとの効果を理解して、状況に応じた使い方をしていきましょう。

歯磨きの代用となるアイテム7選

歯磨きの代用となるアイテム

歯磨きの代用となるアイテムについていくつか紹介していきます。

ワンちゃんがどうしても歯磨きを嫌がるときや、忙しくて歯磨きの時間を毎日取れない時などにうまく取り入れていくのがおすすめです。

デンタルケアで最も大切なのは継続していくことですから、ワンちゃんも飼い主さんもストレスにならないよう、歯磨きと代用アイテムをバランスよく取り入れながらケアしていきましょう。

歯磨きガム

歯磨きガムとは、ワンちゃんが噛んで楽しみながらデンタルケアができるアイテムです。

日々のおやつの代わりとして与えることができるので手軽に取り入れやすいのもポイントです。

噛むことで歯垢、歯石の沈着を防ぎ、口臭を軽減・予防する効果があります。

注意点としては、丸のみができないような少し大きめのサイズのものを選ぶことです。

かじっている最中も注意してみてあげたほうが安心です。

歯磨きおもちゃ

歯磨きおもちゃは、おもちゃを噛んで遊びながら歯の表面の歯垢を落とせるアイテムです。

おもちゃに触れない部分には歯垢が残ることもあるので、歯磨きとの組み合わせで使うのがおすすめです。

また、おもちゃに細菌を繁殖させないためにもこまめに洗って清潔な状態を保ってあげるようにしましょう。

歯磨きペースト

フレーバーを選べる歯磨きペーストというものもあり、歯磨き粉の要領で使用することで歯磨きがおいしく楽しくなります。

中には酵素が入っていて舐めるだけでお口の健康を保つ効果が実証されているものもあります。

本来は歯ブラシを当てることができれば歯磨き粉は必要ありませんが、歯磨きに良いイメージを持ってもらうためのプラスαとして活用すると良いでしょう。

歯磨きシート

歯磨きシートは飼い主さんが直接歯をぬぐうようにして使うもので、歯ブラシの前段階として使いやすいです。

飼い主さんの手の感触がある分、歯ブラシよりは安心感を得やすいでしょう。

初めは前の方の歯から磨いて、慣れてきたら少しずつ奥へ移動していきましょう。

水の混ぜるタイプのデンタルケア

飲み水に混ぜるだけの液体デンタルケアもあり、忙しくて時間が取れない方などにおすすめです。

こちらは主に予防に特化した効果を得られます。

例えば口臭予防、歯周病予防、歯垢・歯石の予防、というような効果があります。

あくまで予防薬であり、すでについてしまった歯石や進行中の症状に関して効果があるものではないため、そういった歯のトラブルがある場合には別で治療を行いましょう。

無味無臭の表示のものでも若干匂いを感じられるものもありますので、神経質なワンちゃんの場合は嫌がることもあるかもしれません。

歯石予防効果のあるドッグフード

素材や形状を工夫し歯石が溜まりにくいように設計されたフードも販売されています。

歯磨きのような除去効果はありませんが、歯の健康を維持しる成分が含まれていたり、唾液の分泌を促したりなどの効果を期待できます。

歯の健康を維持するために、場合によってはフードの切り替えも検討してみましょう。

犬に歯磨きする頻度とタイミング

歯磨きの頻度・タイミング

歯磨きの頻度はできれば毎日、毎食後に行うのが理想的です。

ただ、なかなかそこまでする時間がなく難しい場合もあるかと思います。

そういう時には、歯磨きガムなどの歯磨きの代用となるアイテムを使いながらケアを継続していきましょう。

ただ、やはり飼い主さんの手による歯磨きがデンタルケアとして非常に有効ですので、代用アイテムをうまく使いつつ、少なくとも3日に1回程度は歯磨きを取り入れるのがおすすめです。

まずは1日1本からでも大丈夫

初めからすべての歯をケアしようとしなくても大丈夫です。

まずは1日1本ペースで始めていきましょう。

毎日続けていくことで次第に1度にケアできる範囲も広くなっていきます。

歯垢は約3~5日で歯石に変化するといわれていますので、最終的にはすべての歯を3日で1周ケアできるくらいのペースを目指していくと良いでしょう。

子犬は乳歯の頃から始めておく

歯磨きのしつけは早いうちに始めておくに越したことはありません。

子犬であれば乳歯が生え出したころから始めておきましょう。

乳歯自体は抜けてしまうものですが、この時期は歯のケアというより歯磨きに慣れさせておくことに意味があります。

成犬になっても歯磨きを受け入れてくれるよう、可能であれば子犬のうちから対策を始めましょう。

愛犬の健康を守るために

歯磨きのしつけは何歳からでも始められます。

子犬の頃から始めてなかったからと、あきらめてしまうことはありません。

成犬になった後でも、焦らずコツコツ続けていくことで少しずつケアできる範囲は広がっていくはずです。

毎日の歯磨きが難しい時には代用アイテムをうまく使って、デンタルケアを継続していくようにしましょう。

愛犬と長く元気で過ごしていくためにも、デンタルケアの習慣をつくって歯の健康を守ってあげましょう。