愛犬の食欲が落ちてきたなと感じたり、最近までは食べていたのに急に食いつきが悪くなったり。
そんな時はどこか体調が悪いのか、病気なんじゃないかと不安になってしまいますよね。
食欲不振になる原因は様々ありますが、病院へ連れて行ったほうがいいのか自宅で様子を見ていいのか、どう判断したらいいのか分からないという方もいることでしょう。
この記事では主に下記の内容について紹介していきます。
- 犬がご飯を食べない8つの原因
- 食欲不振の原因として考えられる病気
- 動物病院へ行くべきか見極めるポイント
- ご飯を食べない時の対処法
- 食欲不振の予防策
後半では動物病院の受診が必要かどうか見極めるポイントと、原因別の食欲不振に対する対処法も紹介していきます。
ワンちゃんの状態に応じて最適な対処ができるよう、参考にしてみてくださいね。
犬がご飯を食べない8つの原因
犬がご飯を食べなくなってしまったという時、主に下記の8つの原因が考えられます。
- フードが合わない
- ワンちゃんの老化
- ストレス
- ドッグフードの状態が悪い
- ドッグフードを警戒して食べない
- 運動不足による食欲不振
- 食事環境に問題がある
- 病気
愛犬に対して思い当たるものがあるかどうか考えながら、目を通してみてください。
フードが合わない
フードを変えることで食べなくなる犬もいれば、同じフードを長くあげ続けることで食べなくなってしまう犬もいます。
最近フード切り替えたという場合は、粒の大きさなどが変わっていないか確認してみましょう。
犬によって大きい粒だと噛みづらくてうまく食べられない場合があります。
その点が問題なければ、今のご飯の味が気に入らない、飽きてしまったなどの理由で食欲がわかないのかもしれません。
ワンちゃんのわがままである場合も
先にお伝えしたような、ご飯の味が気に入らない時やフードの味に飽きてしまった時。
また主食のご飯は食べないけどおやつは食べるという時は、ワンちゃんのわがままが原因の可能性もあります。
気に入らない時は食べなければもっとおいしいご飯がもらえると思っているのですね。
こういった傾向は特に、小型犬に多く見られる傾向があります。
ワンちゃんの老化
犬も年を取ることで、次第に代謝や運動量が落ちてきます。
人間と同じように年齢が原因で、食が細くなっていることが考えられるのですね。
1日あたりの必要なカロリーが減っているため、それに応じて必要な食事量が減っていきます。
全ての犬がそうというわけではなく個体差があるため、中にはほとんど食欲が落ちない犬もいます。
ストレス
犬は非常にデリケートな動物でもあります。
環境の変化や運動不足などの欲求不満が重なると、食欲がなくなってしまうことがあるのです。
- 最近引っ越しをして環境が変わった
- 留守番が多くて運動不足気味
- 忙しくてなかなかかまってあげられない。
例えば上記のような内容に心当たりがある場合は、ストレスが食欲不振の原因となっているかもしれません。
ドッグフードの状態が悪い
ドッグフードの状態が悪いと風味や匂いが悪くなり、食べなくなってしまうワンちゃんもいます。
ワンちゃんは人間と比べ、嗅覚がものすごく良いです。
ドッグフードは油分が含まれるため、日数が経過すると酸化します。
ドッグフードの保存状態が悪いと、酸化するのが早くなるのは当然のこと。
酸化するのをなるべく防ぐためにも、ドッグフードの保存方法には気をつけましょう。
ドッグフードを警戒して食べない
新しいドッグフードを与えた場合、匂いの変化を警戒して食べないワンちゃんもいます。
ワンちゃんは嗅覚が鋭いため、匂いの変化に敏感です。
新しいドッグフードを警戒して食べない場合は、元のフードに少し混ぜて与えるなどの方法をご検討ください。
運動不足による食欲不振
ドッグフードを食べない場合、運動不足により食欲不振になっていることも考えられます。
運動量が低下すると、消費カロリーも低下し、食欲が落ちる場合があるからです。
室内飼いの小型犬など、運動量不足になりがちなワンちゃんの場合は、運動させることもご検討ください。
食事環境に問題がある
ドッグフードを食べない場合、食事環境に問題があることも考えられます。
ワンちゃんによっては、周りの音や動きなどのさまざまな刺激がストレスになる子もいるでしょう。
例えば、テレビの音や飼い主さんの声、他のペットの動きなどです。
ドッグフードを食べないときは、食事環境に問題が無いかを見直すこともご検討ください。
病気
犬がご飯を食べない時に最も心配なのが、病気が原因だった時ですよね。
食欲不振は犬の体調不良のサインということもあります。
場合によっては緊急性の高い病気にかかっている可能性もありますから、異変の早期発見が何より大切です。
特に子犬やシニア犬は体力がないので、早めにかかりつけの動物病院を受診するようにしましょう。
【症状別】食欲不振の原因として考えられる病気
食欲不振と一緒に見られる場合は要注意の、病気を疑うべき症状について紹介します。
ワンちゃんに当てはまる症状が出ていないか、一緒に確認してみてください。
水も飲まない場合
ご飯を食べないだけでなく水も飲まないという場合は、かなり重い症状が出ているといえます。
考えられるのは悪性腫瘍が進行していて全身に転移している、椎間板ヘルニアなどの強い痛みを伴う病気を発症している、体に毒素が溜まってしまう、感染症による敗血症等。
ご飯や水を口にできないほどの症状が体に表れている可能性があります。
椎間板ヘルニアの場合、頭を下げたり腰を丸めたりすることで、背中や首に激しい痛みが出ます。
ご飯を食べたくても食べられない状況ということですね。
水は飲む場合
ご飯は食べないが水は飲むという場合、口の中の痛みが原因となってご飯を食べられないことが考えられます。
歯周病や、歯周病の悪化による歯槽膿漏が起きていないか確認してみましょう。
歯茎からの出血や、歯がグラグラしているなどの異変があれば、口内の違和感によって食欲不振になっている可能性が高いです。
歯周病は緊急性に関しては高くありませんが、放置し続けると口内の細菌が増えて内臓にまで感染してしまう等、別の疾患を誘発してしまうこともあるため注意が必要です。
嘔吐がある場合
食欲不振と一緒に嘔吐の症状が見られる時は、消化器に何かしらの異常が起きている可能性があります。
例えば胃や小腸、膵臓の炎症、異物の誤飲、腫瘍などが考えられます。
異物というのは雑貨やごみなどの食べ物以外のものだけでなく、犬が食べてはいけないとされるネギやチョコレート等も含みます。
中毒症状を起こすことがあり、内臓や神経に関する症状も起こる可能性があるため注意が必要です。
除草剤や殺虫剤が散布された草なども中毒の原因となりますので、散歩中に噛んでしまわないように気をつけてあげましょう。
また肝臓や腎臓などの代謝を行う臓器についても、異常がある場合は嘔吐の症状が出ることがあり、肝不全や腎不全などが代表的です。
下痢がある場合
下痢の症状が一緒に見られる時には、腸に問題が起きている可能性が高いです。
腸のダメージがかなり大きい場合にはご飯を食べていなのに下痢をすることもあります。
異物の誤飲や腫瘍によって腸の通貨状態に問題があったり、感染症によって粘膜に激しいダメージがあったりするとこのような症状が見られます。
動物病院へ行くべきか見極める2つのポイント
病院へ連れていくべきか自宅で様子を見るかの判断をする基準になるポイントをまとめました。
少しでも気になれば動物病院で診てもらうのが安心ではありますが、時間帯やタイミングの都合上難しいこともあると思います。
本当に緊急なのかどうか、判断するための目安として参考にしてみてください。
様子を見ていい食欲不振
まず嘔吐や下痢の症状がないこと。
さらにご飯は食べないがおやつなら食べるという場合は、自宅で様子を見ても大丈夫でしょう。
元気もいつもと変わらずぐったりした様子もなければ、原因は病気以外のものである可能性が高いです。
受診を検討すべき食欲不振
上記とは逆に、おやつも食べず水も飲まない。
嘔吐か下痢の症状が出ている、普段より元気がないように見える時には、内臓に疾患がある可能性があります。
早めに動物病院を受診するようにしましょう。
また歯周病については、ゆっくりと進行していくものなので緊急性は高くないものの、長く放置して悪化すると歯を失ってしまうこともあります。
ワンちゃんの歯をチェックして出血、歯石、口臭などが気になるようなら一度動物病院に相談してみましょう。
何日もごはんを食べない場合
- フードを変えてみる
- 人がいない落ち着ける場所にご飯を用意する
こういった対策をしても何日もご飯を食べてくれないようなら、医師に相談したほうが良いでしょう。
成犬であれば、水さえ飲んでくれるのであれば2~3日ご飯を食べなくても命に別状はありません。
ただ子犬は低血糖になりやすいため、丸1日何も食べず元気がないようなら病院で診てもらったほうがいいでしょう。
【原因別】ご飯を食べない時の対処法
犬がご飯を食べない時の対処法を原因別に紹介していきます。
ワンちゃんに当てはまる原因が予想できた場合には、その原因に対応した対処法を優先で取り入れてみましょう。
原因の絞り込みが難しい場合は、試しやすいものから順番に行ってみるのも方法です。
フードが原因の場合
もしフードの粒サイズ大きい場合には少しお湯などを含ませて柔らかくしてあげましょう。
小型犬などで大きなフードが噛みにくかった場合は、柔らかくしてあげることであごを痛めず食べられます。
今あるフードがそれで使い切れたなら、次に買うものは粒サイズを確認しながら選ぶと良いでしょう。
フードに切り替えは徐々に慣れさせる
フードの切り替えを急に行うと、警戒して食べてくれないことがあります。
新しいフードに切り替える時には、前のフードに少しずつ混ぜながら、徐々に増やしていくようにしましょう。
そうすることでワンちゃんも違和感なく新しいフードに慣れることができます。
わがままが原因の場合はしつけの見直しを
ワンちゃんのわがままでフードを食べない時は、一度しつけを見直してみましょう。
ご飯をあげて、10分や15分など決まった時間までに食べきっていない場合は片づけるようにします。
水は飲めるようにしておきますが、次のご飯までおやつなどもあげません。
そうすることで、「出てきたご飯をすぐに食べないとしばらくご飯をもらえない」と学習するでしょう。
ご飯を食べなければもっとおいしいおやつなどをもらえるというイメージを塗り替える必要があるのですね。
また、ご飯をちゃんと食べた時にはたくさん褒めてあげるようにしましょう。
ご飯を食べることにポジティブなイメージを持ってくれるようになりますよ。
老化が原因の場合
老化が原因の場合食が細くなるのは自然なことでもありますので、基本的に特別な対策は必要ありません。
体重がどんどん落ちてしまうようであれば、少量でも栄養価の高いフードを選ぶようにしましょう。
市販のフードでも「シニア用」と記載があるものなら、ライフステージに合った栄養素を含んでいるものですのでおすすめです。
シニア犬になるとあごが弱ってフードを噛みづらいこともあります。
あらかじめ水分の多いウェットフードを与えてみるか、ドライフードにお湯などを少し加えて食べやすくしてあげるのも方法の一つです。
ウェットフードにはトッピングやおやつ用のものも多いですが、主食として取り入れるのであれば栄養価が偏ってしまわないように「総合栄養食」と記載のあるものを選ぶようにしましょう。
フードの香りを立たせる
犬は匂いで美味しさを判断しているところがありますので、フードの匂いを立たせてあげることで食欲増進の効果があります。
お湯で戻したり温めたりすることでも香りを感じやすくなります。
ただ、熱しすぎると破壊されてしまう栄養素もあるので、フライパンなどを使う時は軽く炒る程度にしましょう。
基本的にドライフードよりはウェットフードの方が、香りが強い傾向にあります。
主食を変えなくてもトッピングなどをうまく取り入れることで食いつきが改善されやすくなりますよ。
ストレスが原因の場合
ストレスが元となっている食欲不振の場合、ワンちゃんが何にストレスを感じているのかを突き止めて解消してあげる必要があります。
コミュニケーションの時間は十分か、運動不足になってはいないか等、思い当たるものがあれば対策してみましょう。
ピンとくるものがない時は、ワンちゃんの好きなことをしてあげるのも効果的です。
運動が好きな子ならドッグランに行ってみたり散歩の時間を長くとったりしてみましょう。
病気が原因の場合
お伝えしていたような病気を疑うべき症状がみられる場合は、どこが悪いのかを調べるなどしてきちんと状況を把握する必要があります。
そのためにもなるべく早急に動物病院で検査をしてもらいましょう。
病院で行われる治療の例
ワンちゃんの抱えている疾患によって病院で行われる治療も変わってきます。
例えば椎間板ヘルニアは重症度によっては手術をすることもあり、まだ軽度であれば鎮痛剤で対応します。
腫瘍がある場合は摘出可能であれば手術を、そうでなければ抗がん剤治療を飼い主さんと一緒に検討します。
感染症や炎症、代謝の異常がある場合は点滴をして、必要であれば抗菌剤や炎症材を投与します。
歯周病の場合は放置すると口臭の原因となったり、重症化するとあごの骨が溶けて歯が抜けてしまったりすることも。
歯磨きなどのホームケアを習慣化するか、すでに歯石が多く溜まっている時は動物病院で歯石の除去を行ってからホームケアを取り入れましょう。
自宅でのケアが可能な場合も
病気の重症度によっては自宅でのケアが可能な場合もあり、その際は医師の指示に従って薬や食事の管理を行います。
ご飯は場合によってはあげないほうがいいこともあるので、医師によく確認しておきましょう。
ドッグフードの状態が悪いことが原因の場合
ドッグフードの状態が悪くならないように保存方法に気をつけましょう。
カリカリのドライタイプのドッグフードの場合、直射日光や高温多湿の場所を避けた冷暗所に保存することを推奨します。
また、開封後は1ヶ月間を目安になるべく早く食べきるのが良いです。
冷蔵庫にドライフードを保存すると、出し入れの際の温度差から結露が生じカビが発生する原因となります。
ドライフードは常温保存するようにしましょう。
冷蔵庫で保存すると、与えるときの出し入れの際に、フード表面に結露が生じ、カビ等の発生の原因になることがあるので常温で保存するようにしましょう。
開封後は、なるべく早く使い切れるように犬や猫の大きさにあったサイズの製品を選びましょう。引用元:環境省 飼い主他のためのペットフードガイドラインより
新しいドッグフードを警戒していることが原因の場合
ドッグフードを切り替える際に、新しいフードを警戒して食べないことがあります。
新しいドッグフードに切り替える場合は、元のフードに少しだけ混ぜて与えるのが良いです。
1〜2週間かけて徐々に新しいフードを混ぜる割合を増やしていきましょう。
最終的にすべて新しいドッグフードになるように時間をかけて切り替える方法を推奨します。
運動不足が原因の場合
ワンちゃんが運動不足の場合は、散歩させたり一緒に遊んであげたりすることで運動させましょう。
天候などでお外での運動が難しい場合は、室内でできる遊びを取り入れるのが良いです。
また、遊んであげたり散歩させてあげたりする時間の確保が難しい場合は、おもちゃを利用する方法もあります。
知的玩具のような犬だけで遊べるおもちゃが良いでしょう。
食事環境に問題がある場合
食事環境に問題がある場合は、ドッグフードを与える場所を変えたり、周囲の環境を変えたりすることを推奨します。
例えば、今までが明るい場所に食事スペースがあった場合は、クレートのような暗い場所に場所を作るなどです。
また、騒がしい場所に食事場所があった場合は、静かなところにするなどが良いでしょう。
犬によって好みがありますが、本来は洞窟で暮らしていたため、狭くて暗い場所を好む傾向にある動物です。
色々と工夫して食事環境を変えてみることをご検討ください。
食欲不振の予防策
同じフードに飽きて食べなくなってしまうのを防ぐには、定期的に数種類のご飯をローテーションする習慣をつけるのが良いでしょう。
フードを切り替えても警戒しないための訓練にもなります。
また病気でないなら、基本的にはたくさん運動してお腹を空かせておくことが最も効果的です。
運動が好きなワンちゃんは多いのでストレス対策にもなるでしょう。
ご飯をあげる時に飼い主さんが注意すること
喜ぶ姿が見たくてついおやつをたくさんあげてしまう気持ちはわかりますが、しつけのためにもご飯を食べない時はおやつをあげないようにしてみましょう。
同居している家族がいる際には、ワンちゃんがおねだりしてもおやつをあげないように共有しておきます。
食事に変化をつけるためのトッピングは食いつき改善に有効ですが、過度にトッピングしすぎると好き嫌いやわがままの原因となることもありますので注意しましょう。
また、おやつはあくまで嗜好品です。
主食として与えてしまうと、栄養価に偏りが出て健康のためにもよくありません。
ご飯をきちんと食べている場合でも、おやつはご飯の1割程度を目安とすると良いでしょう。
愛犬の性格を把握して最適な対策を
犬がご飯を食べない理由は病気であったり精神的な問題であったりと様々です。
普段から愛犬の様子をよく観察して、その子の性格を把握しておくようにしましょう。
語派の好みを知るのも食いつき改善には効果的ですし、万が一病気だった際にも異変の早期発見につながります。
状況によって最適な対応ができるよう、日ごろからたくさんコミュニケーションをとるように心がけましょう。