ベッドで寝ている時や椅子に座っている時、愛犬が足元に寄り添ってくるという経験はありませんか?
言葉を話さない犬にとって、しぐさや行動のひとつひとつが相手に気持ちを伝えるための手段となります。
足元で寝るという行動にも犬のいろいろな気持ちが表れますから、犬が足元で寝る理由について知ることでこれまで以上にワンちゃんと気持ちを通わせることもできるでしょう。
この記事では主に下記の内容について紹介していきます。
- 犬が足元で寝る理由
- 寝る場所でわかる犬と飼い主さんの関係性
- 足元で寝てもらう方法3選
- 犬と一緒に寝るときに気をつけること
- 飼い主さんの近くで寝るのをやめさせる方法
犬の寝る場所でわかる飼い主さんとの関係性や、犬と一緒に寝る際の注意点いついてもまとめています。
ワンちゃんの心理について知りたい方や、ワンちゃんとより快適に楽しく過ごしたいという方はぜひ参考にしてみてくださいね。
犬が足元で寝る4つの理由
犬が足元で寝る理由は主に下記の4つです。
- 甘えたいから
- 飼い主さんを守りたいから
- 不安を感じているから
- 人用の寝具が快適だから
基本的にはどのような理由だったとしても、足元で寝るという行動には飼い主さんへの信頼が表れています。
例えば足元がたまたまお気に入りの場所だったという場合でも、信頼できない相手の足元で無防備に寝ることはありません。
それを踏まえたうえで、犬はどのような理由から人の足元で寝ることがあるのかを見ていきましょう。
甘えたいから
飼い主さんに少しでもかまってもらいたい、寝ている間も大好きな飼い主さんとできるだけくっついていたい。
そんな風に飼い主さんに甘えたい気持ちが、足元で寝るという行動には表れています。
犬が足元にいるときに撫でてあげたりスキンシップをとったりしてあげると、こうすればかまってもらえるということを学習してその後も足元で寝ることが増えるかもしれません。
また、犬も人間と同じように寂しさを感じる動物ですから、飼い主さんとなかなかスキンシップが取れないと寂しいと感じていることがあります。
足元に寄り添ってくるのは寂しさを紛らわすための行動でもあり、甘えたいときのサインでもあるということですね。
控えめな性格の子は離れて寝ていることも
犬にもそれぞれの性格があり、中には飼い主さんを信頼していても少し離れたところで寝る控えめな子もいます。
ワンちゃんが足元で寝てくれないからと言って、信頼されていない、興味を持たれていない、というわけではありませんので安心してくださいね。
そういう子でも時には近くに寄り添ってくることがありますので、その際は撫でてあげたりかまってあげるようにしましょう。
飼い主さんを守りたいから
犬の祖先であるオオカミにはもともと集団で行動する習性があります。
寝るときも身を寄せ合って、お互いのことを守りながら睡眠をとるのですね。
犬にもこの習性が残っていて、飼い主さんを守ろうとする気持ちが、足元で寝るという行動に表れていると考えられます。
もしくは飼い主さんが自分を守ってくれると思って安心しているのかもしれません。
どちらにしても、飼い主さんを仲間として信頼しているからこその行動だということができます。
不安を感じているから
臆病な性格の犬の場合、不安な時や何か怖いことがあった時などに、足元に寄り添ってくることがあります。
人の子どものように、一人で寝るのが怖いというときもあるのですね。
飼い主さんの傍で安心して眠りたい気持ちもあるのでしょう。
もし愛犬がいつも以上に近くにいたがるように感じたら、怯える要因となるようなものが近くにないか確認しましょう。
またそれらしいものがあれば可能な範囲で遠ざけるか排除してあげるように心がけましょう。
人用の寝具が快適だから
犬が人に寄り添って寝るのは、単純に人が使う寝具や布団が快適だからという理由でからであることも考えられます。
飼い主さんが使っている寝具が心地よくて一緒にくつろいでいるということがあります。
寝る場所でわかる犬と飼い主さんの関係性
犬が飼い主さんのそばで寝るとき、足元以外の場所に寄り添って寝ることもあります。
実は犬が飼い主さんとの事をどのように捉えているかによって、寄り添うときの位置に違いが出るといわれているのです。
そこで犬が寄り添ってくる場所を下記の5つに分類して、その心理の違いについて紹介していきたいと思います。
- 足元で寝る
- お腹の近くで寝る
- 胸元で寝る
- 頭の上で寝る
- 近くから遠くに移動して寝る
愛犬の寝る位置と照らし合わせながら目を通してみてくださいね。
足元で寝る
犬が飼い主さんの足元で寝るのは、飼い主さんを自分より上の存在と認め、リーダーと認識していることを示しています。
また人間の体の中でも最も低い位置にある足元につくことは、飼い主さんへの忠誠心の現れでもあります。
ワンちゃんにしっかりと主従関係を理解させ、良好な信頼関係を築けている証ですね。
お尻や背中をくっつけて寝る
犬が飼い主さんの足元で寝ている時、足元にお尻や背中をくっつけている場合は、より強い信頼を飼い主さんに寄せていると考えることができます。
なぜなら、犬は安心できる、信頼できる相手にしか背後を見せたくないと思っているからです。
もし背後にいる相手に襲い掛かられたら、即座に反応することは難しいですよね。
つまり寝ている時の無防備な背中を向けるというのは、ワンちゃんから非常に大きな信頼を寄せられている証なのです。
飼い主さんからしたらお尻や背中を向けられるとそっぽを向かれたようで何となく寂しい気持ちになるかもしれません。
しかし実際は最上級の信頼の現れですから、むしろ誇らしく思ってもいいのではないでしょうか。
お腹の近くで寝る
飼い主さんのお腹付近で寝ている場合、飼い主さんと自分をほとんど同等の存在だと考えている可能性が高いです。
信頼できる仲間だと認識されているものの、リーダーとまでは思われていないということですね。
感覚的には「気心の知れた友達」というのが近いかもしれません。
胸元で寝る
犬が飼い主さんの胸のあたりで寝ている時は、飼い主さんのことを自分と同様化、もしくは自分の方が上であると認識している可能性が高いです。
もし胸の上に乗ってくることがあれば、自分の立場が上だと判断しているかもしれません。
ワンちゃんとの主従関係が少しあいまいになっていることも考えられます。
普段の生活から、コミュニケーションを増やしたりしつけの機会をつくるなどして、改めて信頼関係を築いていきましょう。
頭の上で寝る
犬が飼い主さんの頭の上や頭の近くで寝ている場合は、飼い主さんよりも自分の立場が上であると考えている可能性が高いです。
普段から飼い主さん指示をなかなか聞かない子の場合、このように頭の近くについて寝ることがあります。
主従関係を理解させられていない状態で、ワンちゃんとの信頼関係も崩れてしまっている可能性があります。
犬はもともと群れで暮らす動物で、群れの中にはリーダーがいるもの。
飼い主さんがリーダーとなって導いてあげることは、犬にとっても安心できる環境をつくることにつながります。
もしワンちゃんとの信頼関係や主従関係が築けていないと感じる場合は、しつけやコミュニケーションの機会を増やすなどして、正しい関係性を構築していけるよう取り組んでみましょう。
近くから遠くに移動して寝る
飼い主さんに寄り添って寝ていると思ったら、ふと距離をとって離れた場所で寝始める、ということもあります。
このような経験をした飼い主さんの中には「もしかして嫌われたのかな」「何か気に入らないことがあったのでは…」と不安に感じた方もいることでしょう。
しかし、これは「少しくらい離れても安心できるから大丈夫」という信頼の現れだと考えられています。
飼い主さんのことを信頼しているからこそ、少し離れた自分の好きな位置でも安心して寝ることができると認識しているからこその行動ということですね。
足元で寝てもらう方法3選
ワンちゃんに足元で寝てもらいたい時に意識することは主に下記の3つです。
- コミュニケーションを増やす
- たくさん褒める
- 理解しやすい指示を心がける
ワンちゃんに足元で寝てもらいたいときは、ワンちゃんにとっての「安心」の経験を積み重ねてあげることが大切です。
犬にとって、安心できる経験の積み重ねが信頼関係になっていくからですね。
飼い主さんのどのような行動が安心につながっていくのかを知り、ワンちゃんと一層強い信頼関係を築けるようにしていきましょう。
コミュニケーションを増やす
何と言っても、ワンちゃん一緒に楽しく過ごす時間を十分に取ることが信頼の構築には欠かせません。
愛犬と一緒に過ごす時間は足りているでしょうか?
お留守番が多くなっていないか、散歩や遊びの時間は十分に取れているか等、この機会に振り返ってみましょう。
飼い主さん傍にいると楽しい!というポジティブな経験が繰り返しあることで、次第に飼い主さんの傍が落ち着ける定位置になっていくはずです。
たくさん褒める
飼い主さんと過ごす時間にポジティブなイメージを持ってもらうには、ワンちゃんをたくさん褒めてあげることも重要です。
むやみやたらに褒めるのではなく「ごはんを残さず食べた」「お手・おすわりの指示をしっかりきけた」というように、良いことをしたときにしっかりと褒めてあげることが大切ですよ。
そのためにもワンちゃんとのコミュニケーションの時間を十分に取り、褒める機会を増やしていけるようにしていきましょう。
その過程で、今までできなかった、苦手だったことが上手にできるようになるなどの変化を感じる場面も増えることでしょう。
そういった愛犬の成長も楽しみながら、信頼関係を気づいていきましょう。
理解しやすい指示を心がける
ワンちゃんに指示を出すときは、なるべく短くはっきりとした言葉で伝えることを心がけましょう。
褒めるときも同様に、短い言葉で伝えることで犬にとっても聞き取りやすく覚えやすいため、飼い主さんの指示や意図を理解しやすくなります。
指示が伝わりやすくなれば、ワンちゃんも求められた行動をとることができるようになり褒めるチャンスも増えるはずですよ。
また「今は褒められているんだ」ということをわかりやすく伝えるときには、言葉と一緒におやつをあげるのも有効です。
犬と一緒に寝るときに4つの注意点
犬と一緒に寝るときに気をつけることとして紹介するのは下記の4点です。
- 怪我や事故
- 犬を気遣っての睡眠不足
- 衛生面の管理
- 一人寝が苦手になってしまう
犬が人と同じ場所で寝ることに関しては、肯定的な意見も否定的な意見もあります。
主従関係が崩れるためしつけとしてよくない、同じ布団で寝るのは衛生的な心配がある等の考えもありますが、それについても賛否両論あり、犬と一緒に寝るのがいけないということではありません。
信頼関係や主従関係は寝方だけで決まるわけではないので、それに関しては飼い主さんの良いと思う別の方法でカバーすれば問題ないとも言えます。
ただ、ワンちゃんと同じ場所で寝ることには実際にリスクもあるため、そういった課題についても理解をしたうえで最善の選択を考えていくのがおすすめです。
怪我や事故
犬が寄り添って寝ている時、気をつけたいことの一つが犬の怪我や事故です。
飼い主さんが寝返りを打った時に、愛犬を蹴ってしまったり体で押しつぶしてしまったりする可能性があります。
特に小型犬や超小型犬と言われる犬種の子は、人間の体重を押し返すほどの力がなく、受ける衝撃も大きくなってしまうため注意が必要です。
またベッドで寝ている場合は落下事故が起こる可能性も考えられるため、床にカーペットや毛布を敷いておくなど大尉策をしつつ注意を払いましょう。
犬と一緒に寝るのはスペースが十分にある時だけにするというのも、事故を防ぐ方法の一つです。
犬を気遣っての睡眠不足
ワンちゃんに怪我をさせないように…と意識しすぎることで、飼い主さんがなかなか熟睡できなくなることも考えられます。
「寝返りを打ってはいけない」のように意識が集中させている状態が続くことで、深く眠ることができず結果として睡眠の質が下がってしまうのですね。
確かにワンちゃんに怪我をさせないことは大切。
しかし、十分な睡眠をとれないことで飼い主さんが体調不良になってしまわないように気をつけることも必要です。
また寝返りを打てないことで腰や背中を悪くしてしまうこともありますので注意しましょう。
衛生面の管理
ワンちゃんと同じ寝具で寝る際の悩みとして多いのが、衛生面の問題です。
ノミやダニが寝具に移ってしまうことも考えられますし、しっかりとシャンプーなどしてワンちゃんの体をきれいに保っている場合でも抜け毛やよだれなどはついてしまいます。
それらを放置すると肌に湿疹が出たりかゆみが出たりして肌荒れの原因となります。
愛犬の体をきれいに保ちつつ、布団やシーツなども頻繁に洗濯するように心がけましょう。
ズーノーシス(人獣共通感染症)を引き起こす可能性も
動物と一緒に寝ることによってある種の感染症の伝染リスクが高くなることがあります。
人、動物間でうつる病気のことをズーノーシス(人獣共通感染症)と言い、今回の場合は主にワンちゃんから人への感染が起こらないように普段から注意を払っておく必要があるということです。
代表的なズーノーシスについていくつか紹介しますので、感染経路なども参考に対策に活かしていただきたいと思います。
パスツレラ症 | 口移しなどでパスツレラ菌の細菌が感染することによって発症する。 パスツレラ菌は健康な動物の口の中に常在している。 お年寄りや免疫力の弱い人は注意が必要。 皮膚や呼吸器に症状が現れる。 |
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レプトスピラ症 | レプトスピラ菌が感染することにより、初めは風邪のような症状が現れるが重症化すると死に至るほど重篤化することも。 野鼠の尿で汚染された川などの水場が主な感染源。 |
サルモネラ症 | 口移しなどでサルモネラ菌が感染することによって腸炎などを起こす。 キスや犬のよだれが口につくことには注意が必要。 |
これらの予防のためにはまず石鹸での手洗いが有効です。
他には水辺で遊んだ時に特にワンちゃんのシャンプーを念入りにしたり、よだれのついたシーツをすぐに洗濯したりして対策するようにしましょう。
一人寝が苦手になってしまう
ワンちゃんの性格にもよりますが、飼い主さんと一緒に寝ることに慣れてしまうと一人で寝ることができなくなってしまうことがあります。
これからもずっと一緒に寝るから問題ないと考える方もいるかもしれませんが、例えば留守番をするとき、長時間の外出や旅行をするときなどに、一人で寝ることができず精神的に弱ってしまうことも考えられます。
そういう事態で困らないよう、ワンちゃんの様子を見ながら判断してあげるようにしましょう。
分離不安症を引き起こしやすい
ワンちゃんが足元に寄り添ってくれる姿には癒されますが、あまりに甘えさせすぎると「分離不安症」を引き起こしてしまうこともあります。
分離不安症とは、飼い主さんのいない状況に強いストレスを感じてしまう心理障害のことですね。
実際の例でいうとお留守番の際寂しさのあまりひどく吠えたり暴れたりすることもあります。
分離不安症になってしまわないようにするためにも、過度に甘やかしたり、べったりくっつきすぎていたりということを感じるときには、別々に寝られるよう訓練することも検討しましょう。
飼い主さんの近くで寝るのをやめさせる2つの方法
犬が飼い主さんの近くで寝るのを辞めさせたい場合の対策についても紹介します。
- 足元に犬用のベッドを置く
- 飼い主さんの匂いのついた毛布などをあげる
ワンちゃんの安全のためにも寝る場所を分けられるよう訓練したい、衛生面が心配で対策をしたいという方は参考にしてみてください。
足元に犬用のベッドを置く
ワンちゃん専用の就寝スペースとして、飼い主さんのベッドとは別に犬用ベッドを用意しましょう。
初めは飼い主さんのベッドや布団の上においても良いので、ワンちゃんに犬用ベッドの上で寝てもらえるよう訓練します。
なかなか犬用ベッドの上で寝てくれないときは、おやつやおもちゃを使って誘導してみましょう。
犬用ベッドでいい経験を繰り返しさせることで、その場所に対してポジティブなイメージを持ってくれるようになります。
犬用ベッドに慣れてきたら飼い主さんの寝具から離して、離れて寝られるように練習していくようにしましょう。
飼い主さんの匂いのついた毛布などをあげる
犬は非常に嗅覚がいいため、毛布などについた飼い主さんの匂いもわかります。
大好きな飼い主さんの匂いをかぐことでリラックス効果を得られるため、飼い主さんの匂いのついたものを用意してあげましょう。
ワンちゃんように用意したベッドなどにおいてあげれば、一人でも寝られるようになる可能性が高くなりますよ。
まとめ
犬が足元で寝る理由や寝る場所によってわかる犬の気持ち、犬と一緒に寝るうえでの注意点などを紹介しました。
ワンちゃんが寄り添って寝てくれる姿には癒される飼い主さんも多いことでしょう。
犬と一緒に寝ることの注意点やリスクについてもお伝えしましたが、大切なのはワンちゃんと飼い主さんが一緒に幸せを感じられることです。
ワンちゃんとの触れ合い、お互いの健康や安全などを考慮したうえで、これからも一緒に毎日を過ごしていくために最適な形を探していきましょう。