犬があくびをしている様子を見るとなんだか穏やかな気持ちになりますね。
つられてこちらまであくびをしてしまうということもあるのではないでしょうか。
この記事では主に下記の内容について解説していきます。
- 犬があくびをする理由7つ
- あくびから考えられる不調や病気5つ
- 様子を見ていいあくびと要注意なあくびの見分け方
- 要注意なあくびをした時の対処方法2つ
人間にとってあくびは生理現象ですから、犬にとってもきっと眠い時に自然と出てしまうものなのだろうと思いきや。
実は犬にとってあくびは「カーミングシグナル」という、非音声言語でもあるのです。
普段見ていたワンちゃんのあくびは、実は眠い以外の意味で使われていたのかもしれないということですね。
これを機に、ワンちゃんがあくびをするしぐさによって何を伝えようとしているのか考えてみるのもおすすめです。
犬があくびをする理由7つ
犬があくびをする主な理由は下記の7つです。
- 純粋に眠い
- 退屈している
- リラックスしたい・させたい
- ストレスを感じている
- 人間のあくびが移った
- 敵意がないことを知らせている
- 不調や病気のサイン
さっそく意外な理由もあったのではないでしょうか。
順番に詳しく紹介していきます。
純粋に眠い
まずは最もイメージしやすい、眠い時に出るあくびです。
何か意図があってしている「カーミングシグナル」としてのあくびではなく、人間のような生理的なあくびをすることもあります。
そういうあくびは、血行を良くするために脳に酸素を送る働きもあるといわれています。
瞼が重そう、うとうとしている、という時は純粋に眠くて出ているあくびだと考えましょう。
退屈している
犬は退屈であると感じている時もあくびをすることがあります。
これは人間でもあることなので比較的イメージしやすいのではないでしょうか。
1人で留守番している時や飼い主さんがかまってくれない時などのあくびは退屈のサインかもしれません。
リラックスしたい・させたい
これがいわゆる「カーミング(落ち着かせる)シグナル(合図)」の一つで、緊張を和らげてリラックスしようとするときに使われます。
例えばよその犬とじゃれあっている時などにあくびをしたら、「落ち着いて」と相手に伝えている、もしくは自分を一旦落ち着かせようとする気持ちの表れだと考えられます。

動物病院でも自宅のようにリラックスできる子もいるのかもしれませんが、初めての場所で緊張していたり、落ち着かない気持ちの子が多いのではないかと思います。
動物病院でもワンちゃんが緊張しないようにいろいろ工夫しています。ワンちゃんが緊張して困っていたら獣医師や動物看護師に相談してみてください。
ストレスを感じている
犬は強いストレスを感じた時にもあくびをすることがあります。
犬も人間のようにストレスをため込んでしまうことがあり、その気持ちを周囲に伝える方法としてあくびをしていることがあるのです。
全く知らない人が近づいてきて頭をなでようとしてくる時などにもこういった行動をとることがありますから、もしよその犬に触ろうとしたときあくびが出ていたら、「やめてほしい」というサインかもしれません。
人間のあくびが移った
人間同士であくびが移るということはよく聞きますが、実は人間と犬の間でもあくびが移ることがあるのです。
伝染性のあくびについては、東京大学の研究チームが「人との絆が強いほどあくびが移りやすい」という研究結果を発表しています。
この研究結果は「PLOSONE」という学術雑誌で報告されました。
飼い主さんのあくびが移ることは、ワンちゃんとの信頼関係ができている証かもしれませんね。
敵意がないことを知らせている
例えば、見慣れない他の犬を見た時などに緊張状態に陥ってあくびをするということもあります。
この時のあくびは、緊張をほぐすという意味合いのほかに、相手の犬に対して敵意はない、争うつもりはないということを伝えている場合があるのです。
飼い主さんがワンちゃんを叱っている時にあくびをしたら、「争うつもりはないからそんなに怒らないで」というメッセージかもしれません。
不調や病気のサイン
もし普段にも増してあくびが多いな、急にあくびが多くなったなと感じるときは、体調不良や病気のサインである可能性もあります。
あくびをするほかに何か体調が悪いようなそぶりはないか確認しつつ、場合によっては動物病院で診てもらうことも視野に入れましょう。
あくびから考えられる不調や病気5つ
あくびから考えられる主な不調や病気は下記の5つです。
- 低血糖症
- 貧血症
- うつ病
- 口の中の不調
- てんかん
犬もこのような病気にかかるのかと以外に思えるものもあるかもしれません。
ここから詳しく紹介していきます。
低血糖症
低血糖症では、血液中の糖分が減少することで、脳の働きが低下するなどの症状が出ます。
そこで、脳の働きを活性化させるために、酸素を送り込もうとしてあくびが出るのですね。
また血糖値が下がりすぎてしまうと脳がエネルギー不足の状態になり、ふらつきや食欲低下、けいれんなどの症状が出ることもあります。
体の小さな犬は特に注意
特に3ヶ月頃までの子犬や超小型犬と言われる犬種は低血糖症になりやすいといわれているので注意が必要です。
原因としては食事量の不足、寄生虫感染、ウイルス感染などが考えられます。
貧血症
貧血になると食欲低下、落ち着きがなくなる、疲れやすい、あくびが増えるなどの症状が出ることがあります。
免疫異常や寄生虫感染、大量出血、腫瘍などの様々な原因から起こることがあります。
誤飲による中毒に注意
誤飲してしまったものによって中毒症状は異なりますが、例えば犬が食べてはいけないとされているネギ類や殺鼠剤などを誤飲することで、中毒症状として貧血を起こしてしまうことがあります。
摂取量によっては最悪死に至ることもあるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
うつ病
人間以外もうつ病にかかるのかと意外に思えるかもしれませんが、犬も心の病気にかかることがあります。
なかなかかまってもらえない、運動不足が続いている、留守番が多くてさみしい思いをしているなど、長時間ストレス状態にさらされることで心の病気を発症することがあるのですね。
食欲が落ちたりあくびが増えたりして明らかに元気がないのに、病院に行っても原因がわからないというときは、うつ病の可能性も考えられます。
口の中の不調
犬がいつもと違うあくびをしているなと感じるときは、口の中に不快感があるなど何かしらの異常が起きているかもしれません。
例えば歯が痛い、顎が痛いなどの理由で、あくびをすると同時に痛そうな声をあげることもあるようです。
てんかん
てんかんは脳神経に異常な電気信号が発生し、発作を繰り返す脳の病気です。
手足をバタバタさせる、全身がつっぱる、よだれが大量に出る、あくびが出るなどのさまざまな症状が現れることがあります。
てんかんには脳腫瘍などが原因で起こる症候性てんかんや、原因の特定できない特発性てんかんなどもあるため注意が必要です。

しかし、てんかん発作の症状は、あくびや噛む動作、一点を見つめるなど、身体の一部分に出てくることもあります。
普段と違った様子があれば、動物病院で相談するようにしましょう。
様子を見ていいあくびと要注意なあくびの見分け方
どんなあくびが正常でどんなあくびが要注意なのか、見分けるためのポイントについてまとめました。
ワンちゃんの様子と照らし合わせながら見てみてください。
様子を見ていいあくび
たくさん運動をした後や食事をした後に出るあくびは、眠気からくる生理的なあくびであることが多いため基本的には心配いりません。
それでも心配な時は、以下のようなことを一緒に確認するようにしましょう。
- うんちとおしっこの様子に変化はないか
- 食欲は普段通りあるか
それらに異常が見られない時にはひとまず様子を見ても大丈夫でしょう。
要注意なあくび
あくびの回数が普段より多い、あくびが急に増えたというときには要注意です。
- 足取りがふらついている
- 顎がガクガクと震えている
- 食欲が落ちている
- 普段より元気がない
あくびと一緒に上記のような症状が出ているときには動物病院への受診も検討しましょう。
犬があくびをしたときは舌の色をチェック
犬があくびをしたときは舌の色をよく見ておくようにしましょう。
健康であれば基本的に舌の色はピンク色です。
もしピンク色になっていない時には病気や体調不良を疑ってみましょう。

色以外にも、形状や動かし方など、いつもと違う様子はないか、あくびをしたときにはチェックしてみましょう。
普段と違うかなと少しでも思ったら動物病院に連絡してください。
舌が白い場合
舌の色が白っぽい時には、貧血の可能性があります。
何が原因となって貧血が引き起こされているかまでは判断が難しいため、大きな病気でないことを確かめるためにも一度病院で検査を受けるのがおすすめです。
舌が紫の場合
舌の色が紫色になっている場合は、呼吸器疾患や心疾患などの病気が原因となって低酸素状態になっている可能性があります。
いわゆるチアノーゼと言われる状態です。
大きな病気が隠れていることも考えらえるのでこの場合も早めに病院の検査を受けるようにしましょう。

糖分には0kcalの人口甘味料やキシリトールなど多々ありますが、それらはワンちゃんにとって有害です。
絶対あげないようにしてください。
要注意なあくびをした時の対処方法2選
犬が要注意なあくびをしたとき、飼い主さんができる対処方法について解説していきます。
もしワンちゃんに下記の症状がみられた時も、落ち着いて対応できるように備えましょう。
低血糖症をおこしたら糖分補給
ワンちゃんに低血糖症の兆候があるときは、応急処置として糖分を補給させてあげましょう。
砂糖やガムシロップなどをぬるま湯で溶かして与えてみてください。
この方法で一時的に回復したように見えたとしても、またすぐに低血糖の症状は現れてくるため、応急処置をしたらできるだけ早く動物病院へ行くようにしましょう。
誤飲は無理に吐かせず病院へ
誤飲による中毒が疑われるときは、吐かせたい気持ちはわかりますが、無理に吐かせずすぐに病院へ行くことをおすすめします。
ネットにはオキシドールや塩を使って吐かせる方法が載っていますが、胃の粘膜を傷つけてしまったり、食塩による中毒を起こしてしまったりと、別の症状を引き起こしてしまうこともあります。
誤飲の場合は自分で何とかしようとせず、急いで病院へ行くようにしましょう。
まとめ
犬があくびをする理由と、要注意なあくびの見分け方について紹介しました。
あくびといえば眠い、というイメージがついていますが、犬にとってあくびは一つのコミュニケーションの方法でもあるのです。
また、場合によっては不調や病気を知らせるサインとなることもあります。
ただのあくびで片づけるのではなく、そのしぐさにどんな意味が込められているのかを改めて考えてみるようにしましょう。